プレアデス
当主室の
「怒ってやるなよ。衛兵に
「わわ、わかっている。おおお前はいつもそうだ」
サンクトは当主室の扉付近まで逃げるように下がって
私は足を組み、カシミールと並んでその向かいに座った。
「で、なな何なのだ?きゅ、急用はいつものことだが」
「頼み事がある」
「うむ……ん?……め、珍しいじゃないか」
当然だ。私はカルナドが嫌いだから関わらないで済むのであれば、なるべく関わりたくない。面倒なのである。
私は茶をひと口
良い
「そそ、そもそも頼み事なら、ここ
「今回に関しては、お前じゃなきゃダメなんだよ」
「なな何の頼み事だ?」
カルナドに頼み事など気乗りがしないがスルグレアの未来のためだ。私は茶器を置き、気を引き締めて言った。
「単刀直入に正直に言う。区の防衛に関して、恥ずかしながら手詰まりの部分がある。プレアデスの援助を求める」
「な……な!」
「姉さん!?」
サンクトが
しかしカシミールはそれ以上に大きな声を上げて立ち上がると、隣から私を困惑した面持ちで
プレアデス……。
ピオッジア使いのエリート集団。同時に全員がクラウディアブルーの所有者でもある。
クラウディアブルーは解明はされていないが、不思議と女性の眼に
彼女達が都市部で
第3区ルルゴアの名家であるアルシオーネ家、エレクトラ家、メロペ家、セレーノ家に4人。
ここ、第2区ビルオレアの名家であるタユゲタ家、メイア家、ステイロペ家に3人。
皇国には計7人いる。皇都有事の際など
スルグレアとセイリオスにはいない。
カシミールはピオッジアの所持使用許可は持っているが、所属まではしていない。過去に少なからぬ
予想していたことではあるが、カシミールは珍しく声を
「ヒンメルとシエロが無理だから?私がいるわ!私が全部やれば……」
「駄目だ」
「問題ない!」
「駄目だ!」
私は
「駄目だ、カシミール。その眼だけは……。無理をしてはいけない……。防衛プラン上も認められない」
彼女の左目の眼帯を見つめて強く言うと、カシミールは納得のいかない顔で
カルナドは自身を落ち着かせるようにもう一度茶を
「そそ、そもそも認められる訳無いだろう。こ、皇都召集の鐘が鳴ったら、どどどうする?」
「そんなもの、戦時下含めこの8年でほんの数える程しかないだろう」
「そうでなくても、う、うちだって自区の防衛の、つつ都合があるのだぞ」
「ルルゴアは鉄壁。セイリオスもメルヴェイ山脈と海に囲まれてほぼ敵は来ない。アンタのとこも南部隣接国経由でなんて、まず攻めてきやしない。いつもガリヤの
カルナドは頭を
「だだ、だから単独自治と防衛の、け、継続なんて無茶だと言ったんだ。すす素直にスルグレアを他3区の共同管理下に置けば良かったんだ」
───
ガリヤとの休戦協定が結ばれた際に皇室議会でその案が出た。私はスルグレアの総意として
未来のため、断じてその案を
「そのままスルグレアが無くなっちまうよ。ルルゴアが全部
「し、しし、しかし、ここ今回の話をルルゴアが許可するはずがない」
「黙っときゃいいんだよ。1人だけ、
「そそそんな強引な……」
私は困り顔で
「えっ?」
「ね、姉さん?」
カルナドもカシミールも驚いて目を丸くした。サンクトもこの時ひどく驚いて息を飲んだそうだ。
「頼む……。この通りだ。私の
私が頭を下げる珍しい光景を
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