ガリヤの力
「わかりました」
僕は静かに返事をした。
「コソコソ相談かぁ?どれだけ小細工しようが俺の
ルカは瞬時に新たな手投げ弾のピンを抜く。すかさず投げられたそれを、ノヴォさんは消えるように前に踏み込んでルカに蹴り返した。
2人の間で爆音が響く。
その爆煙の中から急に現れて跳び掛かるルカとノヴォさんは
いつの間にか持っていたルカのナイフと、ノヴォさんの針がお互いの皮膚を
「光は
「
2人とも力を込め
「そうかよ……。確かに同族の先輩さんだけに演奏を求めるのは失礼かもなぁ。じゃあ俺も奏でてやるよ。だからよぉ、一緒に……」
ルカの表情が変わる。同時にその両足はビキビキと音を立てて屋上の地面に
闘いの音楽が夜に鳴り響く。
「
「リヒト!走れぇぇっ!」
2人が叫ぶと同時に僕は振り返って必死に駆け出した。
後ろから2人の組み合う音が夜を裂くように響き渡る。
僕は階段を跳ぶように駆け降りて1階まで辿り着くと、その勢いのまま瓦礫の海に飛び出した。
緊張で心臓が破裂しそうだ。
瓦礫の合間を駆ける僕の背後からは、すぐに爆音とともに
思わず振り向くと、屋上の爆炎を背に飛び降りたルカが2階付近の壁を蹴り跳ばす。
そのまま僕の背後に
───ウソ!?そんなこと出来るの!?ケガしないの!?殺され……。
ほぼ同時に追って突っ込んできたノヴォさんと、また取っ組み合う。
「振り返るな!走れ!」
僕は真横に死を感じて息が止まった。
緊張で止まりかけた息のテンポを再開させて走り出した僕は、続け様に嫌な音を聞いて即座にまた振り返ることになる。
───ちょ……ちょっと待って?
手投げ弾のピンが抜かれる音だった。
僕は
聞き慣れた爆発の
ルカは本気で僕を殺しにきている。
ノヴォさんが防いでくれているにも関わらず、その殺意は常に僕の
僕は加速する心臓の鼓動を押さえつけるように立ち上がると、急いで再び地を蹴った。
───何が守るだ……。
───結局僕は、今も守られてばかりだ……。
驚き、悔しさ、不甲斐なさ。
色々な感情を抱えて僕は手足に力を込めた。
───走れ!せめて少しでも
夜風を
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