ルカ
上着の下に見える腰の革ベルトにも胸にもたくさんの手投げ弾を
腰に着けた革ポシェットもたくさんの爆弾で
後ろに流した真っ白な髪と真っ白な肌が、暗闇の中で月明かりに照らされてリエラと同じように青白く光った。
「ル、ルカ……」
「ルカ……、こいつが?」
2人とも震えながら声を
「う……あ……」
息が止まった。
初めて間近で見るテロリストのあまりの怖さに動けない。
僕もヒンメル兄ちゃんも思わず、目に
ルカは
「灯台もと暗しってよく言ったもんだよなぁ。いつもこちらの監視ご苦労なこった。でも自分らの周りが
「こんなこと止めろ!」
「あん?……てか誰だ?お前。新顔だな」
リヒト兄ちゃんを見てルカは
「こんなことして何になるんだよ」
「何だ?……お前。初対面から
ルカは口をひきつらせて言うと、澄ました顔で持っていた手投げ弾のピンを抜く。
そのままポイッと軽くこちらへ投げた。
───え?……ウ、ウソだ。
あまりに
すごい力で引っ張られながら
「う……う……」
耳から入ってきた爆音で頭を痛い。
焦げ臭さとパラパラ飛んできた石ころに頭を
「うわぁぁぁぁぁぁんっ!」
「お、良い音出すじゃねぇか。安心しな、簡単には殺さねえからよ。たっぷり演奏してくれよな」
「兄ちゃぁぁん!……怖いよぉぉ」
僕は泣きながらヒンメル兄ちゃんに
「うぅ……」
───に、兄ちゃん!?
兄ちゃんは頭から血を流して、脚を押さえながら
「兄ちゃん!」
僕は泣きながらヒンメル兄ちゃんに寄り添った。
───誰か助けて。
───ラズリ様。僕らが悪い子だから
───僕ら、こ……殺されちゃう。
僕はあまりの怖さに震えが止まらなくて、堪えきれずに思わず
───怖い、怖いよ。誰か助けて下さい。
「この子達は関係ないだろ!罪もない子を巻き込むな!」
こっちの建物へひらりと跳び移ってきたルカに、リヒト兄ちゃんは立ち上がって叫んだ。
屋上の地面には少し穴が空いていた。
「ああん?さっきから何なんだよお前。許可無く雑音を立ててんじゃねぇぞ」
「罪もない人を攻め立てて、お前達は何がしたいんだよ!」
ルカは嘲笑うと目を閉じた。
「ちゃんと歴史を学んだか?無知なガキに教えてやるよ。ガリヤに生まれてこれなかった時点で罪じゃん?
話しながらルカは次第にうっとりした顔を見せる。
それを見て余計に
「お前、何言って……」
「でも全然足りねえんだよ。停戦だとか馬鹿馬鹿しい。災いの日って知ってっか?万を超える穏健派の連中に自爆させてよ。あいつらのビクビクした顔。破壊され尽くす街の爆音。逃げ
そこまで聞いてリヒト兄ちゃんは握った
「ちょっと待て……」
「ああん?」
「穏健派の人達だって?」
「知らねえのか?虫ケラ共と手を取り合おうなんて連中はガリヤの
冷たい風に吹かれて、リヒト兄ちゃんは静かに立っていた。
「わかるか?……お前に」
「あ?」
「わかるか!?……お前に!……故郷が失くなる気持ちが!家族がいなくなる苦しみが!」
「あ?……お前、もしかして生き残りか?」
ルカはまた笑い声を上げると、やがて
「楽器の都合なんて知らねぇよ。しかしお前は、
ルカは手投げ弾を1つ腰から外すと、ゆっくりと前に一歩踏み出す。
「もう死ねよ」
その瞬間、ヒュンッ!と風を切る音がルカの目の前を通り過ぎてその
「あ?」とルカが目をやった先を見ると、狙撃銃を手にこっちへ走ってくるピアナ様らしき小さな影が見えた。
───今のはピアナ様の銃弾?僕らを助けに?
「スルグレアぁ……」
ルカはそんなピアナ様を
そしてピアナ様が続けて撃った銃弾をものすごい
リヒト兄ちゃんが手元に投げつけられた手投げ弾をキャッチするのを見て、僕は泣きながらありったけの声で叫んだ。
「リヒト兄ちゃん!」
──死、死んじゃう……。
──ラズリ様……。
「あぁぁぁぁぁぁぁっ!」
僕は目を閉じてヒンメル兄ちゃんの手をギュッと握った。
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