生き延びた知恵
…………………。
来ると思っていた爆発が一向に起きなくて、僕はちょっとしてから片目を開けた。
───あれ?……爆発……しない?
「あん?」
ルカも
リヒト兄ちゃんは手投げ弾の底の
「僕は3種類だけ爆弾を知ってる。生きていくためにたくさんイジってきたから」
「お前……何した?」
「これ、火薬は違うけど災いの日に使った爆弾と同じタイプだね?その中でも二番目に古い、ウィルズ1Bだ」
リヒト兄ちゃんは手の中の爆弾を見つめながら言った。
「一番古いウィルズ1Aには致命的欠点があった。起動してから中の
何かを思い出すように、再びルカを
「点火を早める改良をしたのがこの1B。でも起爆は少し早まったけど、今度は早めて小さくしたせいで中の
そして爆弾を建物の向こうへと投げ捨てた。
「不発爆弾の中でも一番多かったよ!まだ古い爆弾使ってるんだね!」
僕は
───リヒト兄ちゃん、今まで一体どんな生活してきたの?……す、すごい……。
同じように驚いた顔をしていたルカは
「グフッ……。クックッ……。おもしれぇ」
そして引き続きやってきたピアナ様の銃弾をサラッと身体を
「おもしれぇなあ!お前はよぉ!お前みてぇな腹立たしい欠陥楽器は初めてだ!その腹立つ顔を
「シエロ、ヒンメルを
叫ぶルカの声に
「え?」
「あいつは完全に僕に気が向いてる。僕が相手しているうちに後ろの階段からこっそり逃げろ」
「ダ……メ……だよ」
「兄ちゃん」
その時、兄ちゃんが痛みを
「まだ……、奴の弟がいない。もしノヴォ兄ちゃん達が
「ヒンメル……」
リヒト兄ちゃんは横目で後ろの僕らを見る。
「シエロ、僕の代わりに……見つけて」
ヒンメル兄ちゃんの一言に、僕は驚いて慌てふためいた。
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