作戦会議②
意外そうなリヒト兄ちゃんに、ノシロン兄ちゃんは「チッ」と舌打ちをすると、ドカッと机に脚を組んだ。
「
「ノシロン。
「ど、どんな奴なの?」
たまたまリヒト兄ちゃんと目が合ったカシミール姉ちゃんは、視線を窓の外に
「めっちゃキモい奴……」
「キ、キモい……奴」
ひきつるリヒト兄ちゃんにノヴォ兄ちゃんが優しく説明を始めた。
「ガリヤとしても大規模な
僕もみんなもこいつらが大っ嫌いだ。
「歳は皆より少し上くらい。アリオス家当主の兄ルカと弟のシロン。前はそうでもなかったのだが、最近はずっとこの2人だ」
「でも、どうしてたった2人で毎回来るんですか?」
「作品を作りたいそうだ……」
「作品?」
リヒト兄ちゃんは首を傾げた。
「そうなんだよ」と困った
「兄貴は音楽家
アリオス兄弟を思い出したのか、ノシロン兄ちゃんはすごく嫌そうな顔でまた舌打ちをした。
「なんでも俺らで作品を作りてぇんだと。ワガママ言って毎回出陣するらしいぜぇ?
「は、話とかするの?」
「とにかくベラベラうるせぇんだよ。ま、お前はすぐにやられちまうだろうけど」
「ノシロン!」
再びカッコさんが
「な、なんかイメージと違う」
話を重ねる度にリヒト兄ちゃんは困惑の表情を見せた。
「しかしアリオスの兄弟は現在のガリヤで
「ノヴォさんよりも?」
「そうだ。それに性格も間違いなく
ノヴォ兄ちゃんは真面目な顔で
「前回も『次はお前らの目から
言葉を失ったリヒト兄ちゃんを見て、カッコさんが涙目で訴えかける。
「んもぅ!ダーもノシロンもどうしてリヒトを怖がらせるのよぅ!リヒト、怖かったら行かなくていいんだからね?てか、行くの
「いえ……。そんな危ない奴らを放っておく訳にはいきません。みんなを護らなきゃ」
「なんでそうなるのよぅ、アンタはぁ」
カッコさんが
「皆、勝手に話を進めるな。情報共有は大事なことだが、今回リヒトは参戦しない」
「え?」
「今回リヒトはヒンメルとシエロの護衛だ。2人が発光弾を放ち次第、速やかに防護壁よりこちら側へ戻ること。カッコと私が端にあるネメア礼拝堂に待機している」
「はい!」
「ええ?」
僕と兄ちゃんは声を
リヒト兄ちゃんだけがポカンとしていた。
「カシミールは南地区担当。ノシロンは東地区北側担当。それぞれ壁より5キロのところの瓦礫バリケードが最終防衛ライン。中央のノヴォがリーダー。現場での判断は
「はい」
静かに返事をするカシミール姉ちゃんとノヴォ兄ちゃん。ノシロン兄ちゃんも小さく「うぃっす」と返事をした。
「ちょ、ちょっと待って下さい。僕、
「覚えてないのかい?リヒト。私は『ノシロンに
「そ、そんなぁ」
リヒト兄ちゃんは落ち込んで
胸を
「慌てるんじゃないよ、リヒト。正直感心している。手合いの約束を果たせるなんて思ってなかったからね。ただ、まだガリヤ人と対峙するのは無謀だ。それに、私の代わりという大役を任せたつもりなんだがね?」
「え?」
まさかの答えだったみたいで、リヒト兄ちゃんは驚いて顔を上げた。
「ヒンメルとシエロの護衛は私がしていた。見張り番の場所まで、今じゃ
「ピアナ様の……代わり」
「そうだ。重要な役目だよ」
ピアナ様は、優しくも強い眼差しで言った。
「リヒト。ヒンメルとシエロの命、預かってくれるか?」
リヒト兄ちゃんは力強く応えた。
「あ……はい!2人の命、必ず護ります!」
それから戦いで着る黒いお洋服を貰って、リヒト兄ちゃんは決意を秘めた
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