憎悪の奔流
人生で最も
ただ祈るしか出来ぬ無力な自分を恨み、次第に息の絶えてゆく父を見守りながら覚悟と
ピアナが手配してくれた室内の病床にて、凶弾に倒れた後の懸命の治療も虚しく、暫くして父は亡くなった。
───この命の最後に、もし願いが一つだけ叶うなら、全ての憎しみを
そして
───和平の歩みを止めるな
───ノヴォ……愛している
それが父の最期の言葉だった。
泣いたのは、おそらくこの時が最期だろう。
私はひたすら一心に泣いて泣いて、部屋の中は
父が逝ってから、程無くしてリアトリス殿も亡くなったと聞かされた。
ピアナは姉君を失っても
3日後、ようやく面会の叶ったピアナへ追悼と式典での詫びに
慌てて室内に飛び込んできたのは皇室教会の執務員だった。
「し、失礼致します!大変です!暴徒化したクラウディアの民が、ガリヤになだれ込んでいると!」
「な!?……」
私もピアナも言葉を失った。
「なんだよそれ!そいつら何勝手なことしてやがる!早く皇室教会の護衛警備かき集めて説得と鎮圧にあたれ!」
「既に行っておりますが、完全に暴走していて全く制止出来ません!」
「意味わかんねぇ!ラズリの教えは
「落ち着きなさい!」
慌てふためくピアナに声を張り上げたのはぺフェタステリ家長のテシトラ殿だった。
会談の頃から一度も聞いたことのない彼の大きな声に、室内の一同は静まり返った。
「リアトリス殿のカリスマ性が
「わ……私が……?」
「民衆の前に
ピアナは動揺し、言葉を詰まらせた。
「とにかく冷静になるのです。偉大な2人が残した和平への
テシトラ殿の助言に背中を押され、迅速に今後の対応を模索しようとした矢先、さらに耳を疑う一報が届く。
慌てて扉を開けたのはファレトさんだった。
「ノ、ノヴォ……。ピアナ殿……」
彼は雪を被りながらも汗を垂らす程に息を切らしていた。
その一言に私は再び
「
「な……!嘘です!こんなに早く……」
「間違い無い!町全土が大火に包まれている。
サルトランは国境近くの町であると同時に、メルヴェイの
「そ、そこには
「わ、わかった!……ノヴォ、くれぐれも気をつけろ!こちらも即座に対応して追いかける!」
私はいてもたってもいられずにファレトさんと部屋を飛び出した。
しかし幾ら駆けようとも不測の暴挙に対して私達の初動はあまりに遅く、全てが後手に回ってしまった。
その後、サルトランではアリオス家の2人の
暴走したクラウディアの民は各地でゲリラ化してしまい、それに激昂した
逆に
生き延びたルカとシロンはサルトランの憎しみを糧に票を集め、若くしてその席に割って入った。
右翼のような国粋思想を持ちながら、左翼のような急進的な手段を用いる
最期はあの『災いの日』における穏健派の見せしめを
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