Fair Lady
あの時と同じく雪が降っている。
「なんでお前がガリヤの眼を持ってんだよ!?」
「クラウディア医学界最高峰の頭脳達がわからないのよ?私にわかる訳ないじゃない……」
冷静に言い放つ私に、それまで臆することなどなかったシロンが
「動くな」
ピオッジアを向けるとピタリとその足を止める。
同じ眼を持つ者が銃を持っていることの危険性……自分の置かれている立場を理解しているのだろう。
今まで人を
「これでこそ
「テメェ……」
「
「な……なにぃ?」
シロンは冷や汗を
「『
「急にべらべら喋りやがって……。そんなもんが何だってんだよ!」
シロンは歯を
「フィブリーナ弾を使用しても、その
張った
「最後に美しい流星群の中で死ねるなんて良かったわね?でも3秒だけ待ってあげる。好きに動きなさい?………3………」
秒読みと同時にシロンは決死の
赤く
左足を軸にこちらから見て右方向に身体を
「2……」
そのまま瓦礫の影にでも身を隠せばいいものを、シロンの左足首は駆ける
───
「1……」
私はシロンの
───
「
行き場全てを
「ふぅ……」
少しため息をつき、私は痛む身体を
シロンは呻き声を上げながら
「ウソ……だ。……まだ……最高の……1枚……
「おま…え……、綺麗だ……、その眼……。
彼は最後にそう言葉を
硬直し見開いたその瞳は、
「遠慮しとくわ……。あなた、才能無いもの」
もう言葉を返すことのないシロンにそっと
「ううっ……!」
───短時間でも負担が大きい……。酸素が、酸素が足りない。深呼吸しなきゃ……。
左眼はガリヤと同等の力とて、私のそれ以外は違う。
命を
雪の中で脂汗をかきながら荒い呼吸を繰り返す
───
「カシィィィッ!」
耳に届いた声に、私は
ベネディが泣きそうな顔をしながら瓦礫を跳躍し、私に駆け寄るとそっと抱き締めてきた。
すかさず横たわるシロンに気付くと、私の左の
「カシ!良かったぁ……。やったの!?キモい奴……って、何その傷ぅぅぅっ!こいつのせい?このキモい奴にやられたの?許せない!私のカシの美しい顔に傷をつけるなんてっ!」
「ベネディ……。少し……静かにして?」
それから私の状態を察すると、一転して驚きの表情で泣きそうな声を上げた。
「カシ……、眼帯……。ちょっ!……駄目じゃない!左眼使ったの?どうして使ったの?なんでそんなことするのよ!」
「こうでもしなきゃ……、お役目……果たせなかったのよ……」
「もう!馬鹿ぁっ!」
涙を浮かべながら抱き締められて、私は少しずつ呼吸を取り戻していった。
ベネディはそれから落ちて雪に
「
「駄目だよ、カシ。少し休まないと……」
「大丈夫。行かなきゃ。歩きながら良くなるわ?ちょっとの間だけ、お願い」
ベネディの肩を借りて、私は南地区へ向けて歩み始めた。
「これで約束破った者同士……。ピアナ姉さんに、一緒に謝らなきゃ……ね」
「もう……。馬鹿……。帰ったら良くなるまで毎晩添い寝してお世話してあげるからね?」
「それは遠慮しておくわ……」
「駄目!」
ベネディは少しだけ頬を
冷え込んできた夜に、私達の白い吐息が雪を
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