Tragedy
それから私がリア姉さんとピアナ姉さんのくっつき虫になるのに、
「呼び名は『リアお姉ちゃん』!テシトラ、カシミールを
リア姉さんが言い張ったこともあって、厳しい父様も次第に何も言わなくなった。
私は父様の執事仕事についていっては、毎日姉さん達の仕事の合間を
月日が流れて6歳の年になり、忘れもしないあの冬がやってくる。
その日のリア姉さんの笑顔はいつもに増して
「ついに!ついにこの日が来たわ!」
「リアトリス当主がね、長年仲良く出来なかった国とずっとお話を続けて、ついに仲直り出来るようになったのだよ」
それがどれだけすごいことか、最初はあまり理解出来なかったけれど、聞けば聞く程に私の瞳は驚きと感激の色を
───すごい……。本当にリアお姉ちゃんの言った通りだ。リアお姉ちゃんは綺麗で優しくて悪い心に負けない、まるで本物のヴェンデッタだ!
そして何よりも驚いたのは、リア姉さんが式典での記念花束の
あまりの大役に、その日から私は緊張と胸の高鳴りにあまり眠れなくなった。
背筋を伸ばして歩く練習をしてはピアナ姉さんにカチンコチンの
迎えた式典の当日──。
その日は少し雪が降っていた。
会場のリガーメ広場は見たこともない程の人々で埋め尽くされていた。
広場中央に2つ置かれた
周りには関係者と護衛警備の人。私はその列の中で、ピアナ姉さんに手を
向かいのガリヤ関係者の真ん中には、まだ若かった頃のノヴォ
皆の笑顔に囲まれて、リア姉さんはずっと嬉しそうに
「
「何を……。この調印こそが何よりの握手。この日をどれだけ待ちわびたことでしょう」
「
「こちらこそだ。
代表の2人が
雪の中を祝福のフラワーシャワーが舞った。
地鳴りのような歓声と拍手に包まれたリア姉さんを見て、私は自分のことのように誇らしくなった。
「それでは調印前に、御二人に記念花束の贈呈を」
式典進行の役人さんの呼び掛けで、見とれていた私はハッと目を覚ました。
2つの花束を受け取って、全身を
「カシミール……。ありがとう、カシミール……。
色鮮やかなのフラワーシャワーと白い雪、人々の笑顔と祝福の歓声、
神秘的ですらある世界に包まれて、自然とふんわり笑みが
───これが……、これがリアお姉ちゃんがずっと夢見て叶えた世界なんだ……。なんて綺麗なんだろう……。たくさんの笑顔があふれてる。リアお姉ちゃん。大好きなリアお姉ちゃん。たくさんの幸せをありがとう。私もいつか…お姉ちゃんみたいにみんなを幸せにしたいな。ずっとずっと、これからもみんなで一緒に幸せでいようね。
こんな毎日がこれからもずっと続きますように…と、祈りながら
リア姉さんの
それは一瞬のことであったはずだけれど、私にはひどくゆっくりと、まるで静止した画面のような記憶として残っている。
目の前で、リア姉さんとガリヤの
響いた銃声で一瞬止まったかのような
───リア…………お姉ちゃん……?
突然のことに、私の心臓は驚きに鼓動を止めた。
何が起こったのかわからないまま、リア姉さんを見つめ硬直した瞳に、気づいた時には焦点の外からじわりと2つの
その
恐ろしい熱さと眼の中に
「あぁぁぁぁっ!いだぁぁぁぁぁぁいっ!いだぁぁぁいぃぃぃっ!」
周りの群衆の悲鳴や
このまま死んでしまうと思う程の痛みだった。
ただ駆けつける
「カシミール!リア姉!」
「いだいぃぃぃぃぃ!グスッ、いだぁぁぁいよぉぉっ!」
「カシミール!当主!」
すぐ
「リア姉っ!おいっ!リア姉っ!……テシトラ!カシミールは!?」
「いだいぃ……。ヒクッ。いだいぃ……」
「撃たれてはいないっ!だがおそらく、眼に血を浴びた!」
「チッ!おい!護衛!何してやがる!
「父上!父上ぇ!」
それからしばらくノヴォ
───いだいぃ……。いだいよぉ……。リアお姉ちゃん……。リアお姉ちゃん、どこ?
その男は驚いた
私は父様に身体を預けながら、必死に首だけを動かしてリア姉さんを探そうとしたけれど、激しい
───リアお姉ちゃん……。
……リア……お姉ちゃん……。
激痛はついに意識の全てを飲み込んでしまい、私はそこで気を失った。
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