第14話 Fair Lady (カシミール)
Breakthrough
雪が降っている
深深と舞い落ちる雪が……
私の心を埋めてゆく
困惑のままに私は駆けた。
彼等の
「止まって!……止まりなさい!」
彼等は私の言葉など聞く耳を持たない。ただ一心不乱に街へと迫っていく。
涙を回避する時間の不利益と彼等の
───何なの?想定外のさらに想定外よ……。こんなに多くのガリヤ人。それもみんな見たこともない顔……。そんなに泣きながら必死になって……。
私の頭の中は状況への
これでは
それではアリオスに対する作戦どころではなかった。
───くそっ!
私は足を止めることなくピオッジアを構えると、意を決して先頭を行く1人に狙いを定める。
引き金の指に力を入れたその瞬間、南側から聞き慣れた
「カシッ!だめぇぇぇぇっ!」
発砲の
「ベネディ……」
「カシ!……あぁん、カシ!無事で良かったぁ!」
ベネディは瓦礫を
「どうしてここに?姉さんが許したの?」
「あ……、ええっと……。その話はまた後で。とにかく今は状況説明を!」
直感的にほぼ間違いなくベネディの独断だと思い、ピアナ姉さんのムスッと怒る顔が容易に思い浮かんだ。
「後で一緒に謝りましょう?」
「え……?カシ……、私のために?……好き……」
「とにかく早く説明して
「あ、うんうん!えっとね!あのね!」
ベネディは私と足並みを揃えて走りながら、赤らめた頬を正すと状況説明を始めてくれた。
たまに霧を
私は実状を聞いて驚き、自然と
「なんてこと……。あのアリオス兄弟なら考えそうなことだわ」
「ひどいよね!最っ低だよ!」
「アリオスの連中がゆっくり向かって来てるのはおそらく、
「ホンットに最低!気持ち悪い!」
「ねぇ、ベネディ。こちら側を進むアリオス兄弟の1人、何か特徴までは見えた?」
「え?えぇと……。うんとね……、確か片手に大きな板を持ってて、首や頬に
───板……?板って何なのかしら?でも首や頬の模様はきっと
「どうやらこちら側は、芸術家気取りの、弟のシロンだわ」
「うげぇ……。何それぇ。黙って創作だけしてろっての」
「奴にとってはここが創作の場なのよ……。理解出来ないけどね」
───作戦を守るためにも
───その為には一秒でも早くこの場を収めなければならないけれど、穏健派の彼等は脅されていて説得も聞き入れてはくれない。
───お腹にそんな爆弾がつけられているなら恐怖と混乱でそれも致し方ないこと。でも爆弾を解除してあげれる訳でもない。これではやはり発砲もやむを得ない。
それでも、ここまで事情を知ってしまった私は、助けてあげられないにしろ
当然、それは街を守るための最終手段としては仕方がないけれど、必死の
「ベネディ……。麻酔弾……。いくつ持ってる?」
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