カッコとソリディ
「カッコさん、ここは?」
「病気や怪我をした子ども達が過ごしているところよ」
リヒトとレノンを連れた私達はこの医療院の中でも奥に
先の戦争で身寄りの亡くなった子達も多いので、ほぼほぼ孤児院の様な所だ。
私が普段いるアリア修道院と違うのは、その中のアリア医療院が街の診療所的な規模で孤児院はあくまで
その中でも1階の大部分を占める
1階にあるのは緊急の
2階3階と高くなるにつれて傷病の
上の階の子達ほど、下の階の子達を助ける
来るのはものすごく久しぶりだけど、私はその光景を見る
「リヒト君、怖がらないであげてね……」
ルビーノは少し心配そうな
初めてここに来た子は少なからず重傷病の子を見てショックを受けたり怖がってしまう子もいる。初めて目の当たりにすることに驚いてしまうようで、中には避けてしまう子もいる。
でも、リヒトはきっと大丈夫。
中に入ると広間がある。そこでは
「ルビーノ姉ちゃん!ドリトがついに字を書けた!すごいよ!これ見てあげてよ!」
昼食後にそのドリトという子が一生懸命に書いたであろう文字を
ルビーノは目を輝かせ、受け取った紙を両手で
「すごいじゃなぁい!ドリト、ついにやったのね!めちゃくちゃ上手だわ!」
ルビーノはそのドリトと呼ばれた小さな男の子に駆け寄ってハグをする。
その子には両腕が無かった。口に筆を
「おばちゃん達だぁれ?」
───お、おばちゃん?
───だ、誰がおばちゃんですってぇ!?
静かに燃え上がる私の炎に気がついたルビーノが、一瞬アワアワと
「こら!ソリディ!失礼よ!そのお方をどなたと
ルビーノに言われた彼は、急に驚いた顔を見せて固まった。
「カッコさん……?」
固まった彼の顔は
私も固まった。
───ソリディ……。
───ん?……ソリディ……?
「ソリディ!アンタ、あのソリディなの?大きくなっちゃって!えぇぇぇ?」
はぁぁぁ……。時が
「カッコさぁぁん!」
ソリディは泣きながら私に抱きついてきた。
私はワシャワシャと彼の頭を
看護学生の頃、私はスルグレアのとある医療院で研修を受けていた。
ルビーノとも研修が重なり、少しの間一緒に働いていた時に、入院していた小さな男の子を担当していた。
それが彼、ソリディだ。
「ルビーノ。ソリディがいるなら最初から言いなさいよ!もう……ビックリしちゃったわ」
ルビーノは「すみませぇん」と笑って頭を
「ソリディ、ここに
「お久しぶりです!14になりました!カッコさんがいなくなった後に
ソリディは
「何もしてないわよ。頑張ってるのね……。小さな子達の
「いいえ。僕の方が毎日楽しいです。カッコさん、どうしてここに?」
「少し用事があってね……。また後でお話しましょ」
ソリディは笑顔で元気良く返事をして、遊びをねだる小さな子達に手を引かれて去っていった。
懐かしい。まさかここで会うとは思わなかった。
私は元気そうにしている彼を見て少し胸を撫で下ろした。
しかし本題はリヒトだ。
見せたいものや話したいことがある。レノンにも、ここで少しでも何かを感じ取って欲しい。
「リヒト、ここにはね……アリア修道院の孤児院と違って、体に
「はい……」
返事をしたリヒトとレノンは
私はレノンを、ルビーノはリヒトの手を引きながら中を歩き出す。
「ルビーノ、案内してね」
「はい」
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