第5話 薄闇の星 (カシミール)
カシミール
私はきっと流れ星
誰を照らすわけでもない……
雪が降っている。
ふわり……ふわり……と揺れながら。
何もない真っ暗な静寂の中で、
私はぼんやりとそれを見ている。
雪が降っている。
「最悪……」
横目にそっと窓の外を見ると、一度目とは違って今度のは少しだけ積もっていて、夜明け
私はもう一度目を閉じて静かにため息をついた。
───嫌な夢だわ……。
この季節になると嫌でも思い出す。私にとって冬は時間を巻き戻す
チクタクチクタク……。
どれだけ春に花が咲いても、夏の日射しに汗を
私は布団から抜け出し、冷たく
鏡の中には少し
細身だけど肩だけがっしりとしてて、物静かそうで
その子は眼帯を
──しっかりしなさい、カシミール。
彼女はその言葉だけを私の頭に残してぼんやりと消えてゆく。
私は彼女を見送ると、少しかじかんだ手足に力を入れてゆっくりと髪を
ニーハイ・ソックスも、
おまけに寒いからと
───黒は罪の色って言うけれど、
最後は私のお気に入り。
ピアナ姉さんとお
私は姉さんの髪と同じ真っ赤な色にヘーベの花柄の入ったテールクリップを引き出しから取り出して髪を束ねた。
そして首元のカラーに沿って青く光る丸い石のネックレスを着けたら……。
これでカシミールの出来上がり。
私は鏡をもう一度見つめると、再び現れた彼女に静かに声を掛けた。
「大丈夫よ……、カシミール」
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