第30話黒くて太くて大きい奴



 フィールドを進んでいくと木上に宝箱があるのを見つけた。

 先ほどまでの階層は道の途中にあったので上にあるとは思わなかったな。


 次の階段が見つかるまでに3つ見つからなかったら最初のほうで見落としている可能性が高いかも…。


「カズ、宝箱が木の上にあるよ!」


「うわ、本当だな。あちゃー見落としてきたかもしれないな。」


「その時はまた引き返そう!仕方ないよね。」


 ということで早速宝箱を開封!


「これは、ブルーゼリーの人形?」


「人形が出たのか、珍しいな!」


 ブルーゼリー型の人形だ。

 えっと、なになに?


 ・ブルーゼリーの人形

 とてもよく跳ねる!!!



「よく跳ねるんだって、スパーボールってことなのかな?」


「投げてみよーぜ。」


 たしかに!投げたらわかるかな。


 ブルーゼリーを地面に叩きつけるみたいでかわいそうな気がするけど、あれだけ倒しているんだし今さらか!


「えいっ!うわっと、、す、すごい飛び方だね…。」


 投げられたブルーゼリースーパーボールはまっすぐ飛ばず四方に七転してバウンドしていく。

 飛んでいく先が全く予想できないのでこれはこれで面白い!


「ブルーゼリーはまんまるじゃないからこうなるよねぇ、スーパーボールで遊ぶのは久しぶりで楽しい!」


「スーパーボールで遊ぶなんて小学生以来か…。」

 小学生のときやたらとキラキラが入ったスーパーボールを集めていた記憶がある。


「うーんこれは売りたくないかも。カズ、売らなくてもいいかな?」


「おう!いいぜ、いつか店舗ができたらコレクション用のショーケースとか欲しいよな。」


 おぉ!夢が広がる話だ!


「それまでにまんまるのモンスターがいないか探しておかないとね!!」


 なんて話していると周りと違い石畳が引いてあるエリアを見つけた。

 中心に木が植わっている円形の広場のような場所だ。


「お!セーフティエリアだな、休憩しようぜ。」


「真ん中の木はシィクトレントじゃないよね?」


「ハハハッ、さすがにねぇな。」



 …ふ、フラグですか?


「え、これフラグかなぁ?」


「おい、やめろ。声に出すと本当になるだろうが。」



 そういいなら石畳の広場に踏み入れると中央に植わっている木が風もないのにグラグラと動き出す…。


「フラグだ!!」


「やっぱりこうなったか?!ボスフィールドだ!」


 瞬く間に木は姿を変えシィクトレントよりも大きなトレントへと姿を変える。


「ヘビーシィクトレントだな、シィクトレントよりも動きは遅いが俺でも1発で死ぬ。攻撃には絶対当たるなよ!」


「わかった!!」


 ヘビーシィクトレントはヘビーというだけあって太くて大きい、色もシィクトレントに比べて黒い色をしている。



 繰り出されるツルも太いためジャンプして避けることが難しい…。


 右へ左へ逃げ惑うだけでなかなか攻撃に繰り出せない時間が続く。

 一回一回の攻撃が遅いためまだまだ攻撃事態は続きそうだ。


 弓で攻撃するにはタメ時間が必要なためなかなか攻撃ができない。



「ライト!やっぱり魔法攻撃はあんまり効いてないな。か、カズどうしよう!」


「いちかばちかシールドで攻撃を受け流してみる!それで態勢が崩れたら総攻撃だ!」


「うん、頑張る!!」


 カズが果敢に太いツルを受け流す…。

 受け流していてもカズの体力が大きく削られてしまった。


「体勢を崩した!いくぞぉ!ブレイクアタック!」


「パワーシュート!パワーシュート!パワーシュート!」


 ヘビーシィクトレントが体勢を立て直すまでめいいっぱい攻撃を加える。

 攻撃事態は効いているため後一度総攻撃できたら倒せるかもしれない…。


「カズ!体力大丈夫!?」


「おう!ケイのクッキーで回復したからもう一回受け流せるぜ!」


 そういってカズは太いツルを受け流す体勢に入る。


 この間にも僕はツル攻撃を右に左に避け続け決して当たらないようにする。


「ケイ!」


「うん!」


 再びヘビーシィクトレントの体勢が崩れたのをみて総攻撃だ。



「ブレイクアタック、ハードヒット!」


「パワーシュート!パワーシュート!」


 最後のゴリ押しで体勢を立て直したヘビーシィクトレントがツルを出す前にカズがスキルを叩き込み戦闘は終了した。


「ふー、いかにもセーフティゾーンだと思ったのにな…。」


「本当だね、やっと休憩できるーって思ったのに…。」


「いや、でも見ろよケイ。」


 ボス戦が終わり広場には再び中央に木が植わっていた。

 ヘビーシィクトレントが倒れたとき一緒に消えたはずなのに。


「えっと、なになに。セーフティゾーン?あっセーフティゾーンになってるんだ?!」


「ボス戦が終わったら変化するタイプみたいだな。でも疲れているときにボス戦はなかなか厳しいよな…。」


「まぁとりあえずここは安全ってことだよね?良かったぁ。」


 死に戻りの覚悟は無駄になったがとても良かった。


「2階層でこれか…。2人だと厳しいかもしれないなぁ、どこかの階層で引き返して一層二層辺りを周回するのが金策にはいいかもな。」


「なるほど、それもいいね!せっかくボス戦が無事終わったし3階層目くらいまでは行きたいな、それでもいい?」


「おう、そうしよう。」


 セーフティゾーン内で出た後の行動を話し合いつつ休憩をする。

 2人で作戦を立てていると小学生の時のごっこ遊びを思い出す。


 今日はよく小学生のころを思い出す一日だなぁ。

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