第23話息をつく暇もなく…


階段を降りて1つ下の階にやってきた。

この階もあいかわらず窓の外は黒く、ここが何階なのかもわからない。



「各階にスタート地点みたいな休憩場所があるんかな?あったら一回休みたいな。」

とカズがつぶやく。



たしかにカズは戦闘のとき常に動き回っている。


HPで見ると元気だが精神的な疲労は別で溜まるのだろう。



「とりあえず、片っ端からドア開けて見るか!」


カズのつぶやきを聞いたドルにぃはドアを開け始めた。

しかし、ドアはビクともしない。


「なんだこりゃ、開く気がしねぇーな。」


「うーん、逆に開くドアが休憩ポイントなんじゃないかな?」


「あー、そうかもな。地道に探すか。」




みんなで敵を警戒しつつ開くドアを探す。




「ニャ!ここ空きそうニャ!!」


「まじか!はぁーやっとだ。」


すでにドアを探し始めてから1時間近くが経っていた。


この階では未発見だったモンスターも多く出現し、ギリギリの戦闘が何度かあった。

中でもデーモンというモンスターが強かった。


魔法は打ってくるし、動きは素早いしで僕はなかなか矢を当てることも魔法を当てることもできなかった。


アーサーさんの補助魔法とサラさんの回復魔法がなかったら今頃全滅していただろう。


休憩ポイントのドアを見つける前に階段を見つけられたら下りようと話していたが、階段もなかなか見つけられずみんな死んだ魚のような目をしている。



やっと見つけた休憩ポイントかもしれない場所、疲れているときって知らず知らずのうちに気がゆるんじゃうよね。


でもそういうときって絶対何かが起こる、フラグじゃないよ?!



1番最後にアーサーさんが入り、ドアを閉める。

すると途端にドアが消え、ただの壁になってしまった、ほかに出口はない。

みんなが一斉に緊張した面持ちになる。


鳥肌が止まらない…、今まで遭遇してきたモンスターとは別のナニかがこの部屋にいる…。







突如、脳を揺さぶるような叫び声が部屋に響き渡った…。



「みんな来るぞ!!」


そう叫ぶドルにぃの声を合図に武器を構える。



・特殊ボス 窓辺のカトリーヌ


そのボスは50センチほどのかわいい女の子のドールだった。

しかし、雰囲気が怖い。

暗いもやを出しているわけでもなくただただ怖いと感じるボスだ。


「あれはドールってやつだよね。

なんか見てるのが怖いレベルなんだけど…。」


そうアーサーさんがつぶやく。


「こっちから攻撃しないと戦闘が始まらないタイプかしら…。

あのドールピクリともしないわね。」


「ふむ、じゃあ今回もファーストアタックはカズで、そのあとアーサー補助魔法を頼む。」


「任せといてー!」


「じゃあ行きます!」



そう言ってカズがボスの方に駆け出す。


「シールド、ブレイブオーラ、マジックサイクル。」


カズの初撃に合わせてボスも動き出す、アーサーさんが補助魔法をかけるのを待ってみんなで攻撃する。


ボスは浮いていて動きは少ない。

しかし、髪を伸ばして攻撃したり魔法を放ったりと攻撃の予想がしづらい。


「フラッシュアロー!ライトアロー!」


僕もほかのみんなに負けないよう攻撃をする。







ボスのHPがちょうど半分になったころ、突如戦闘が急変する。

ボスのカトリーヌが奇声を発したあと真っ黒に染まったのだ。

目だけ赤いのがなんとも気味が悪い…。


「HPが半分になったら行動パターンがかわるんだ…。」



名前もかわっていた、


「嘆きのカトリーヌにニャってるニャ。」


真っ黒に染まったカトリーヌは赤い目から赤い血の涙を流し、さらに強い攻撃をしてくる。



「早めにかたをつけないと持たないかもしれないわね…。ストーンバレット!アースクェイク!」


「よし、俺も!ライトスピア、ウォーターピラー!」


サラさんとアーサーさんの魔法がボスに突き刺さっていく。


ゆっくりだがHPは確実に減っていっている。


「フラッシュアロー!」


僕も微力ながらも攻撃を続ける。


「残り2割でまた行動パターンがかわるかもしれないから気をつけてくれ!」

とドルにぃが叫ぶ。


そんなパターンもあるんだ…、って2割もうすぐじゃないか!

HPバーは2割まで残り2ミリほどだった。

あと一回攻撃が当たれば2割だろう。




ドルにぃが言った通り2割になった途端行動パターンがかわる。


ドールの目が光り、その周りを守るように2つの竜巻が出現する。


「くっそ、近づけねぇ。」


さすがのカズでもボスからの攻撃を避けながら竜巻を突破するのは難しいようだ…。


「うニャー、仕方ないニャ。

突っ込むニャー!骨は拾ってくれニャ!」


「仕方ないわね、回復は任せて。」


「俺も魔法で援護するよ!」


そう言ってミャーチさんがボスの攻撃をかわしつつ竜巻に突っ込んでいく。

アーサーさんの補助魔法があってもHPがガリガリと減っていく。

サラさんの回復が追いつかないほどに。


「ニャー!猫は根性ニャ!!ハードヒット!!」


ミャーチさんの重い一撃でボスの体勢が大きく傾き、その拍子に竜巻が消える。


「今だ!ウッドブレイク!」


「ウォータースピア!」


「ライトアロー!」


竜巻が消えた瞬間にみんなで全力で攻撃をする。



「フラッシュアロー!!!」












ついにボスのHPバーが砕け散り、特殊ボス嘆きのカトリーヌは絶叫を上げながら消えていった…。




「よっしゃあ!倒した!」


みんなから歓声が上がる…。

しかし入ってきたドアは相変わらず壁のまま。

ゆいいつかわったところといえば…


「こんなところに下り階段が…。

あぁー休ませてくれー!疲れた!」


次いつ特殊ボスがまた現れるかわからない、それに下り階段が目の前にあるなら降りるしかないだろう。


「下の階でも見回りつつ休憩ポイントを探すか…。」




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