第22話アイアンナックルと骨
スタート地点の部屋を出てすぐは長廊下だった。
廊下を照らす燭台のろうそくがなんとも不気味に燃えている。
「ニャ、ニャー…思ってたより不気味だニャ。」
「あぁ、そうだな…とりあえずカズを先頭にミャーチ、俺、サラ、ケイ、アーサーの順で進もう。」
1番後ろじゃなくて良かった…。
アーサーさんが後ろにいてくれたら心強いな。
みんなで周りを警戒しつつ廊下を進む…。
窓の外は真っ暗で異空間に閉じ込められているのが伝わってくる…。
曲がり角に来た…、曲がったらお化けがなんてことがあると怖いから身軽なカズが偵察に行くようだ。
「曲がった先の廊下にレイスが二体いた。」
「はー、早速お出ましってことかな。」
そう言ってアーサーさんは棍を構える。
ん?棍は魔法が効かない相手に使うんじゃないのかな??
「ケイくん、全部声に出てるよ。まぁ、初戦闘だしパァーッとね!
それにこの棍でも魔法は撃てるんだよ?」
「僕の弓と同じ?魔道棍みたいなやつですか?」
「そうそう、それだよ!ドル作のね。」
なるほど、たしかにアーサーさんの棍は木で出来ている。
ドルにぃはすごいなぁなんでも作れちゃうんだ!
「うふふ、ちなみに私のアイアンナックルも魔道具なのよ。さすがにドル作のじゃないけどね。」
ドルにぃは木製専門ってことなんだろうな。
というか、アイアンナックルをつけて魔法?!
殴り魔法使い…世紀末が見えた…。
「よし、行くぞ!後ろから来る場合もあるからアーサーとケイは警戒しといてくれ。
Go!!」
ドルにぃの号令とともに曲がり角を曲がる。
ファーストアタックはいつも通りカズ、2人以上でのパーティ戦闘はこれが初めてだ。
レイスから距離をとって、
「ライトアロー!」
最近気づいたことだけど【弓術】をとっているおかげで弓のスキルも使えるみたい。
今回のイベントでは使いわけることを意識しよう!
「やっぱり物理はあんまりきいてないな!
アーサーさん、ケイ!頼んだ!」
カズの声が聞こえる、やっぱり矢だと攻撃が通りづらいみたいだ。
木の棒を取り出して、
「フラッシュ!」
閃光を放つ。
僕のへなちょこ魔法じゃあまりきいていない。
「いくよ!ライトスピア、ホーリーエッジ!」
アーサーさんから強力な光の槍と礫が放たれ、レイス二体のHPを削りきった。
「すごい…ホーリーエッジは聖魔法ですか?」
「あぁ、そうだよ。レイスは光と聖が弱点属性だからね!」
モンスターによって弱点があるんだ、また1つ学んだ。
僕の光魔法はまだスキルレベルが育ってないせいであんまり聞かなかったんだと思う。
「ここは洋館みたいだな。
出口は普通に一階の正面だろう…。
この調子だったら多少モンスターがいても正面突破できそうだ。」
モンスターといってもレイスだけではないだろう、ゾンビとかもかなー?
こんな洋館にゾンビは似合わないけど…。
「攻略が1番進んでるとこでスケルトンがでたみたいニャー。魔法が効きにくくて、物理攻撃力が高いって聞いたニャ。」
ニャからスケルトンが出る確率が高い気がするニャ!とミャーチさんがいう。
スケルトンといったら骨だろう、魔法が効きにくいなら【弓術】のスキルを試してみようかな。
「きた!ミャーチさんの予想通りスケルトンだ!それも三体!」
「アーサーは補助魔法頼む。」
「はーい、任せといて。」
カズのあとに続いてドルにぃとミャーチさんが走る。
僕も攻撃しないと、【弓術】のスキルはっと…、
「パワーシュート!」
矢にスキルの力がのり、すごい勢いで飛んでいく。
スケルトンのHPはあと4割、僕でも1割ほど削れた。
「ホーリーシールド」
アーサーさんから全員に補助魔法が飛ぶ、光の盾のようだ。
さすが現在攻略されている1番強いフィールドの敵なだけある、スケルトンはなかなか倒れない。
防御も硬いようにみえる。
「キュア!ヒール!」
そのため前衛が攻撃をもらうことも多くサラさんが大活躍だ。
サラさんの魔法を見ていると【光魔法】や【聖魔法】とも違う気がする。
【治癒魔法】というのがあるのかもしれない。
「ケイ!後ろ!!」
「え、?うわぁ!!」
後ろからもスケルトンが来ていたようだ、相手からの攻撃はギリギリ避けられたけど、カズのように避け続けることは…。
「ケイくん離れといて!」
1番近くにいたサラさんが僕を助けに来てくれる、が、サラさんは神官だ。
「え、サラさん危ないですよ!!」
そういう僕の声に笑顔を向け、そのまま、
「グランドブレイク!!!」
いつのまにかアイアンナックルに装備をかえていたサラさんは、スケルトンもろとも地面を割った。
正直、声が出ない。
応戦しないとと思うが、サラさんの拳でズンズン減っていくHPに目を奪われる。
あ、倒した。
「スケルトンの弱点属性は地みたいねー。
私にピッタシのモンスターだったわ。」
か、かっこいい。
いつのまにか先のスケルトンを倒した、カズが来ていた。
「ケイは感知系のスキルをとっといたほうがいいかもなー。」
「そうニャねー。遠距離職ならとくに便利ニャしね!」
イベントが終わったらやることリストに心の中で追加する。
感知系スキルの獲得っと。
「それにしてもサラ、前より【地魔法】強くなってない?」
たしかに神官であるサラさんが、前衛の攻撃力に近いものを出していた。
【地魔法】の中にはさっきのグランドブレイクのように物理攻撃として判定されるスキルがあるらしいが、それにしても。
「そりゃそうよ!なぜならイベントに備えてアイアンナックル強化したんだもの。」
【治癒魔法】の力を増大させるAll銀製らしい。硬そうだ。
「さぁー!どんどん行くわよー!スケルトン出てこーい!」
サラさんはそう笑顔でいう、サラさんの1番恐ろしいところは攻撃されても回復して殴りづつけることだろう。
スケルトン逃げてー!
その後もレイスやスケルトンを倒しつつ廊下を進んでいく。
「ここの廊下の突き当たりに下に降りる階段があった。」
カズの報告を聞いてみんなで下り階段の方へいく。
二階にはまだ誰もみたことのない、モンスターがいるかもしれない…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます