第19話男のロマンと筋肉!

「よし、ケイ!いまだ!!」


「フラッシュ!」


そう唱えたとたん木の棒の先から閃光が放たれる。

フラッシュ一回で木の棒はチップのようにバラバラと砕けてしまった。


それに、流石にフラッシュ1発だけじゃアーマービートルの体力は削りきれなかった。



「ケイ、残りは俺が行くからMP温存しとけ!!」


「わかった!」


MPを回復できるポーションがあればいいんだけど、まだ僕には作ることができない。

材料も足りない。

ないないづくしだ。


「あと30匹は狩らないとだな。次行くぞ!」


「おー!」



結局30匹狩るのに1時間かかった。

ビックマンティスのときは楽だったのにな、物理攻撃が効きづらいことがこんなに大変だなんて。


それに途中で僕のMPが枯渇してしまったのが悪かった。

結局2人でゴリ押しで倒す羽目になっちゃったや。

MP管理はしっかりしないとね!



「よし、とりあえず素材は揃ったし帰るか!」


「うん!」




集めた素材を持ってカズの畑に向かう。

途中冒険者ギルドで必要ないものを売るのを忘れずに。


ただいまの所持金は3000G。

大金持ちの気分だね!


「そーいやカズ、なに作るつもりなの?」


「あ、話してなかったな。鎌ではケイの鏃を作って。鎧片は俺の盾を作る。鎧片の鏃も硬い敵にいいかもしれないから作ろうか。」


「それって鍛治スキルなくてもできるものなの?」


鍛治スキルみたいな生産スキルがないと武器が作れないのかと思ってた。


「あぁ、今回作るのは簡易なものだし、溶かさなくても作れるようなやつだしな!

あと鍛治スキルがないと装備に効果がつかないが序盤だしいいだろう。

でも作るための道具は揃えた。」


なるほどただ組み立てるだけだと鍛治スキルがいらないんだね。

また一つ勉強になった。


結構適当で投げやりなカズの言い方に若干の不安は感じるがとりあえず作ってみてからのお楽しみかな!


「鏃は金槌で簡単に砕いたのを俺の畑で剪定した時に出た枝を棒に加工してにつける!

ケイたくさん凝固剤持ってたよな?

棒と鏃の間にブルーゼリーをつけて凝固剤使うとガッチガチに固まるぜ。」


なかったら俺のを分けてやると笑うカズは日曜日のお父さんのようだ。

そんなカズは話しながらも盾を組み立てていっている。

矢と同じように凝固剤で固定するようだ。

しかし、、


「カズそんなに盾っている?」


カズの手元で組み立てられている盾はすでに3つめ。

鎧兜虫の鎧片4つで1つの盾ができるようだ。

ということは、あと2つは作るつもりなのだろう。


「耐久があんまり高くないからな、この盾は使い捨てだ。」


金属が全く使われていない盾なので壊れてゴミになっても畑の肥料にできるらしい。

なんともエコな話だ。


ちなみに僕が作っている矢は大蟷螂の鎌1本から8本作ることができた。

このままだと枝の方がさきになくなるだろう。



「カズ、大蟷螂の鎌が余りそうだから、余った分は盾に使えないかな?」


どこに使うかは想像できないがカズならうまく使えそう。

ん、カズ?そんな目を見開いてどうしたの??


「ケイ、お前天才だな!!!!」


そう大興奮で話すカズの意図はわからないが、褒められるのは嫌ではない。

もっと褒めてもいいんだよ?


「その顔はわかってねぇーな?

ようはただの盾から男のロマンに大変身するってことだ!」


ふむふむ、わからん!


「完成品見せながら説明おねがいします!」


だからそんな残念な子見る目で見ないで。

説明が雑すぎてどこを要約したのかわからなかったの!


何だかんだといってる間に男のロマンの1つ目が完成した。

外見に変化はなくてさっきの盾との違いがわからない。

強いて言うなら盾には必要なさそうなレバーがあることだけが違和感だが、


「このレバー押してみろ。」

案の定、そうカズがニヤニヤ顔でつぶやく。


手渡された盾の裏側にレバーは繋がっているようだ。

言われた通り引いてみたとたん、盾が開いて6本の鎌が飛び出してきた。


「え、すごい!カッコいい!!

たしかに男のロマンだね!!!!」


これはテンションが上がっても仕方あるまい。


「だろー!この調子であと4つ作るぞー!」


カズもノリノリだ。

それにPvPというプレイヤー同士で戦うときに初見殺しできそうだ。


「でも、僕にはだいぶん重いかも…。」


そうなのだ。

この盾とてつもなく重い。

僕には持ち上げることすらできなかった。


「あーケイはstrに振ってないもんな。」


strといえば力が上がるステータスだったはずだ、1ポイントも振ってないから当たり前かー。


「カズも生産職重視なら盾持てないかもじゃないの?」


カズの体格ならば多少は持ち上げられるかもしれないが、この重さだと戦いに使うのは厳しいだろう…。


「俺、str極振りだから!余裕」


「え?何で?しかも極振りなの!?」


「おう!攻撃なら元々の身体能力である程度避けられるし、畑耕すにはやっぱり筋肉!力がいるだろうと思ってな。」


たしかにいってることの筋は通っているが…。

あまりにも脳筋すぎる…


「攻撃避けられない敵が来たらまた考えるよ!」


果たして畑を耕すためだけにstrがそんなに必要なのかは謎だ。

まぁ、カズだしね…。大体の出来事はこの言葉で片付いてしまう。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る