第3話 学歴名が上の彼女

久しぶりにまたこのお気に入りのカフェに来た。

さてさて、今日も物思いにふけるとしよう。


あれは3年前。

会社の後輩との恋だった。

自分の出身大学よりもかなり上の出身大学の女の子だった。

自分への自信を疑わない、事実、仕事を覚えるのも早く、

ものすごい勢いで成長していった。

僕とは違う部署で、普段は全くすれ違わない程だった。


仕事場での彼女も好きだったが、

プライベートで会っている時の彼女はもっと好きだった。

いわゆるギャップ効果で、本当に甘え上手な子だった。

でも肝心なところで、自分の気持ちを出さない様なシチュエーションが、

本当にごくごくたまにあった。

今思うとその積み重ねで、最後の別れへとつながったのかなと、今だからこそ思う。


彼女との交際期間は、僕には珍しく長く、一年以上だった。

春夏秋冬を初めて一人の女性と過ごした。

春には、お花見に行き、

夏には、花火大会に行き、

秋には、紅葉を見にドライブをし、

冬には、温泉にも行った。


でも、最後の別れは、案外あっさりと訪れた。

ある日、彼女がいつもの様に僕の家に遊びに来た。

でも玄関で顔を合わせた瞬間、

僕は全てを悟った。

今日がきっと、二人で過ごす最後の日になるんだと。

そして結果、その通りだった。

でも、その気配は、その日の数週間前から実は感じ取っていた。

LINEのやりとり、デート先での彼女の細かな仕草や態度、

電話で話してる時の口調、

その全てにいつもとは違う違和感を覚えてた。

だからわかってた、、

でもやっぱり、最後はいつも悲しい。寂しい。


彼女が僕をふった理由は、今でも判然としない。

今までは、まあこんな理由だからだろうと、

自分自身で納得できるものが最低でも1つはあった。

自慢でもなんでもないが、今回だけは本当に思い当たる節がなかった。

僕を振る時の彼女は、とても見ていられなかった。

あまりにも号泣し続けるものだから、もらい泣きするどころじゃなく、

逆に笑いながらティッシュを補充してあげる状態になってた笑。

これは、すごい、今でも鮮明に思い出せる光景。


恋愛って本当に難しいなって、思う。

好きか嫌いか、本当はとってもシンプルな話だろうに。

なんでこうもややこしいかなって、つくづく思う。

でもそれが、人間が人間たる由縁なのかな、とも思う。


凛太郎「ここのブルーベリージャムは、本当に美味しいな」

ジャムの酸味が過去の恋愛の甘酸っぱさと重なる。

この年になると、男友達が続々結婚し始める。

焦ってはいないが、32歳くらいにはと思ってるから、

その時にご縁があった人とかなと、こう思う。

何年間付き合ってるかではなく、結局タイミング次第なところがあるのかなと、

最近よく思う。

自分が初めてお付き合いした人と、32歳で知り合っていたら、なんて意味のないことも考えてしまう。


凛太郎「さ、今日は早めに帰ろうかな」

帰りの僕が感じた風は、いつもよりも清らかで気持ちの良いものだった。

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