第2話 心の弱い彼女との記憶
凛太郎「今日はどんよりした天気だ、この後、雨降るかな」
店員さん「今日もいつものコーヒーで?」
凛太郎「はい、あ、チーズケーキもください」
店員さん「はい、かしこまりました。」
天気がどんよりしていると、僕の気持ちもどんよりした感じになって、
なんだかセンチメンタルな気持ちになる。
僕がこれまでの人生で、恋愛で、恐らく最初で最後となる、
彼女に別れを告げるという経験。
あれは、もう二度と経験したくないな。
僕は、相手をふるより、ふられた方がいい。
ふられた側がどういう気持ちになるか、痛いほど知ってるから。
それを知っててすることが本当にやるせ無い。
出会いは、もうちょっと覚えてない。
半年続かなかった彼女。
LINEの連絡が遅くなったり、友人たちとの集まりに出かけると、
心配の連絡を入れてくる。
別に嫌って訳じゃなかったけど、もっと信頼してもらいたかったし、
流石に頻繁には、こっちが疲れちゃう。
そんな気持ちだったんだと、今思う。
些細なやりとりにもとても敏感で、気持ちの起伏が激しい人だった。
身体も強くなく、飛行機に乗ることが難しかったり、
映画館などの特異な空間に対して受け付けられないという特性も抱えていた。
自分は、この子の彼氏だ。
こういうことも全部、受け止めてあげなくちゃ。守ってあげなくちゃ。
付き合う前のデート、付き合って1ヶ月経たないくらいは、してあげられた。
大好きな映画館に行くことも我慢した。海外旅行に行くことも我慢した。
体調や心の具合が優れない時は、一生懸命寄り添った。
でも、僕の彼女に対する「好きという気持ちが足りなかった」のだと思う。
ある日、一人シャワーを浴びながら、ふと思った。
ああ、もう支えきれない。。。
店員さん「はい、チーズケーキです。今日はいつも以上にうまく焼けました笑」
凛太郎「お、いい匂い〜。ありがとうございます。」
店員さん「今日もごゆっくりどうぞ」
凛太郎「うん、うまい」
別れを持ちかけた時、彼女は泣かずに、でも泣き出しそうな声で、
静かに受け止めてくれた。
むしろ僕が、涙を流していた。
それが強く、今でも僕の記憶にある。
彼女と過ごした日々は、大変なこともあったけど、とっても旅しいときだってあった。一緒に水族館に行って、動物園に行って、ドライブに行って、幸せだった。
でも、でも彼女は次のステップにはいかないな、そう思った。
彼女と結婚して家庭を築く。その光景がどうしても思い浮かばなかった。
なにより、当時の僕は、今の恋愛を様々に楽しみたかったのだと思う。
映画館にも行きたいし、海外旅行にも行きたい。もっとアクティブに生きたい。
そう感じていた。
少し自己中心的な風に思えなくも無いけど、そこに「好きという気持ちがなくなってしまえば」、もうその恋愛は、終わり。なんだと思う。
彼女が今は僕よりももっと素晴らしい男性に守られていることを切に願おう。
凛太郎「チーズケーキいつもより確かに美味しい。けど、なんだか少し、甘酸っぱいな」
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