失恋を想う

カンツェラー

第1話 ホステスとのひとときの恋

自然に包まれた晴れた心地の良い日、

僕はよくこの人気の多くないカフェに車で立ち寄る。

今日も鳥のさえずりの中で、でも今日はえらく感傷的な気分だ。

とりあえず、いつもコーヒーをお願いした。


来年で30歳になる。

今から5年前、僕は1年間ホステスをしてる女性とお付き合いした。

出会いは、お店ではなくとある勉強会だった。

素敵な雰囲気のある女性だったので、勇気を出して夕食にお誘いしたのがきっかけだった。

2回目のデートの終わり、バラを渡して告白してお付き合いが始まった。

交際前に、彼女から職業のこと伝えられた。

内心びっくりしたが、好きであるこの気持ちに偽りはないし、好きなものは好き。

そこに仕事は関係ない、その思いで交際を決心して、告白した。


彼女は、本当に気の利く女性で、外出先のお店で僕のマグの中に髪の毛が入っているときは、すぐに気づいてさっと取る、そんな人だった。

きっちりしてる一面がある一方、甘え上手で、日に日に彼女の魅力にハマっていった。

そんな完璧とも言える彼女との関係に亀裂が入るきっかけとなったは、今振り返ると本当に情けなく思うが、「嫉妬」だった。

時より彼女との会話の中で、仕事の話が出る。

世間では、よくある状態だ。

お互いに悩みを聞いてアドバイスをして励まし合う。

すごく建設的でいいカップルだと思う。

でも、彼女のホステスという職業柄、いろいろなお客さんがいて、いろんな話、いろんな出来事が起きる。もちろん、聞いてて笑えて面白い話も沢山あって楽しかった。それでも、嫉妬を止めれなかった。


その嫉妬は、積み重なるとやがて関係のない日常の些細な意見の衝突で顔を覗かす。そしてお決まりの、『今のことにそれは関係ないじゃない』。至極もっともだ。冷静で失恋していっぱい後悔した今だからこそ、そう感じることができる。でも当時の僕には、それはできなかった。

僕は結局のところ、彼女のホステスという仕事を理解していなかったのだ。一方で彼女は、私の仕事を理解してくれて、器の大きい素敵な男性だ、そう思ってくれていたんだと思う。


ホステスをしている女性とお付き合いすることは、余程の覚悟がなければ、お付き合いをすることは、とっても苦労するし、精神的にすごく削られる。でも、女性として魅力的であることは、間違いない。男の器というものも良い意味で度々考えさせられたものだ。

一年にも満たない交際期間だったけど、後悔してないし、むしろして良かったと、彼女に感謝してる。男として成長させてくれて本当にありがとう。

君が今、別の素敵な男性と幸せな時間をおくっていることを心の底から願っているよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る