第32話 記者会見。AGAIN
アレクが SOMYレコードに乗り込んで数時間後。
SOMYレコード本社近くの東京インターグレートホテル。
豪華な金屏風を設置した巨大なボールルームに短時間ながらも東京中の全マスコミが集められて騒然とした雰囲気である。
集められた記者達が噂話をしている。
「SOMYレコードから、弊社アーティスト「仲河リエ」に関する緊急記者会見を行うってプレスリリースがあったから駆り出されたけど何なんだよ?」
「日本テレビ、産経テレビ、日経テレビ、東映テレビ、GAHOO、文春映像、ワグナーTV、BBC JAPAN、トヨタ放送、ハーストTV JAPAN、NBC TOKYOテレビ、ABEMA地上波と東京中の巨大マスコミ全部が来てるな」
「そりゃ、今上り調子の歌姫「仲河リエ」と極東のアレクセイ大統領のスキャンダルとなったら、みんな飛びつくだろ」
「親日国で石油を格安で売ってくれる大統領が大事な日本政府は、日本の歌手ごときとアレク大統領がくっつかれて粗相があっては困るから、仲河リエには破局したとSOMYは言わせるんじゃねーの」
そんな中、仲河リエとSOMYレコード関係者が入場しマスコミ前の会見席の前に立つ。マスコミからフラッシュがリエにたかれる。記者達は我先にリエに質問しようとした時。
続けて司会から
「極東連邦共和国アレクセイ大統領が入られます」と呼ばれマスコミ陣がどよめく。
「えっ、なんで大統領が?」
「これは歴史的瞬間が獲れるかも!生中継の回線開けといて!」
アレクはオザワシンゾー議員を従えて入場する。SPは沖田とトオルだ。
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TV中継を見ていてぶっ飛ぶ、リエとアレクの関係者達。
「リエ・・・」リエの母。
「アレクくん」「トオルと沖田もいるぜ!」健吉、歌子夫妻。
「えっ?」近藤夫妻。
「WAO!」H@RUKA &レオナルド・クルーズ
「!」秋山部長夫妻。
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1時間前、SOMYレコード会議室。
「リエさーん」リエがいる会議室に勢いよく入るアレク達。
噂していたアレクセイ大統領が向こうから乗り込んできたから呆気に取られる会議室のオトナ達、アレク側には日本の有名な実力者オザワシンゾー国会議員も来てるから日本政府関係者も堪らない。
「アレクさーん」ソファから跳ね上がりアレクに飛びつくリエ。
「怖くなかったかい」リエに軽くキスするアレク。
「うん」
いい顔をしない会議室のオトナ達。
「アレク兄貴、カッコ良すぎるぜー」
「アレク、早くやれよ」
「沖田、うるせーぞ。早く書類出せよ。バーカ」
「ほらよっ」沖田がアレクに雑に書類を渡す。
「チッ、お前SPで俺VIPだぞ・・・」
愚痴りながら書類を広げ会議室のオトナ達に見せるアレク。
「これは?」
驚く一同をよそに、アレクは会議室のドアを開け、SOMYレコード社内に号令する。
「プレス担当者はいますか?1時間後に全マスコミを集めて豪ゴージャスな記者会見を行うから早く用意して下さい!急いで!」
「スタイリストさん居ますよね!リエさんに今ある最高のステージ衣装を今すぐ用意して下さい!」
アレクの命令でジタバタするSOMYレコード関係者達。
ビジネス口調の怖い命令形のアレクさんだと、ドキドキワクワクするリエだった。
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アレクはリエの真横左側に立つ。
153cm、急遽スタイリストが見繕ったステージドレスを可憐に纏い凛と望むリエ、アレクを見つめている。
2m、オールバックに撫で付け、戦士のような肉体にオーダーメードの高級スーツを装着したアレクセイ大統領、リエを見つめている。
日本中で噂になっているリエとアレクが完全にツーショットで目の前に立っている。
マスコミ陣は、この瞬間を逃すまいと先程よりも大量のフラッシュを焚き、うるさいぐらいのシャッター音が会見場に鳴り響く。
リエとアレクは互いに見つめ合い、同時に頷く。
アレクが机の上のマイクを取りリエに渡し、リエが話し始める。
「こんばんは、仲河リエです。よろしくお願いします。私の急な記者会見の為に多くのマスコミの方が集まっていただき、ここに感謝いたします。ありがとうございます。今回、私とこちらにいるアレクセイ大統領が交際していると言う件に関しましての報道ですが、私からの返答は「YES」。交際しています。私とアレク大統領は2年前に彼が日本へ密かに逃げてきた時からの縁で仲良くなりました。アレク大統領は異国で1人困難な状況だったのに、私を助けてくれました。昏睡状態だった母に巨額の医療費を投じて回復させ。私に歌手への自信と手段と道筋を与えてくれました。私はそんな彼の一途な優しさに惹かれていき交際する様になりました。そして、彼は祖国の大統領の職務で忙しく、私は歌手活動に専念する為、この2年は離ればなれで過ごしましたがSNSやビデオ通話で連絡を取り合い寂しくありませんでした。そして彼、アレクが日本にやってきたところです」リエがアレクにマイクを渡す。
アレクが右手にマイクを持って話し出そうとするが。リエはアレクの右手からマイクを取り上げ、アレクの左手にマイクを持たせる。そしてリエは自分の左手とアレクの右手を繋ぎ、どうぞのジェスチャーをアレクに出した。困惑しながらもニヤけるアレク。
リエと手を繋いだまま日本語で話し出すアレク「こんばんは、極東連邦共和国大統領アレクセイ・フローロヴィチです」アレクは直後にロシア語で
「極東連邦共和国の国民の皆さん、日本人であるリエさんと私のプライベートに関する事なので日本語で会見します。同時通訳で見て下さい。ごめんなさい」とTV画面向こうの自国民に謝罪し、改めて日本語で会見を始める。
「先程、こちらの仲河リエさんが言われた通り私達は2年前から交際しています。私は、リエさんの歌に対する情熱、リエさんがお母さんが昏睡状態だったという困難な状況でも挫けず明るく頑張ってきた不屈の精神、私が歌手の道を用意したかもしれませんが、リエさんは与えられたチャンスを必死に掴み離さずモノにしたので今の成功があります。そうした事も含めたリエさんの全てに惹かれて交際を始めました。リエさんの恋人になりました。そして、日本のマスコミで報道されてる件は事実です。あと、リエさんと私を別れさせようとSOMYレコードや日本政府はリエさんに圧力をかけてた様ですが、SOMYレコードは今日の夕方に私が全て買収しました」
どよめくマスコミ陣。
アレクはリエに向き言う「リエさん、1つ目のプレゼント、SOMYレコードの所有権をプレゼントします」
「SOMYレコードですか!デカッ!」驚くリエ。
アレクは再びマスコミに向かい会見を再会する。
「そして衆議院議員オザワシンゾー先生が私の後見人です。わかりますよね皆さん。リエさんを悲しませる者は誰とでも、恩人の日本政府であっても私はケンカします」
手を繋いだままマスコミの方を向いたリエとアレクに数分間、カメラのフラッシュが焚かれる。
二人の会見が終わり、司会者がマスコミからの質疑応答に入るアナウンスを遮りアレクが話し始める。
「司会者さん、マスコミの皆さん、私事ですがもう一つ僕から言いたい事があります。お願いします」
アレクはリエと繋いでた手をほどく。リエの前に膝まづき、素早くポケットから箱を取り出し両手で中身をリエに見せる。TV画面越しからもわかる大きくて重そうな高額なダイアモンドの指輪だ。
リエ、会見場の全員、視聴者がゴクリと息を飲む。
「改めてここで言います。リエさん、結婚して下さい。これからも困難はあるかもしれませんが僕はあなたを愛し続けます!二つ目のプレゼント、今日の朝一で銀座で最高の指輪を買ってきました」
一拍置いて、リエは言う
「はい、アレクさん。よろしくお願いします」リエの目には涙が・・・
「おーっ」騒然とするマスコミ。二人に何回目かの盛大なフラッシュが焚かれる。
アレクは立ち上がりリエを抱きしめる。
「リエさん、綺麗です」アレクはリエを見つめ語りかける。
「私も好きです」リエはアレクに微笑む。
「リエさん、キスしよう」
「こんなにみんな見てるところでですか?」マスコミのカメラの列を見て躊躇するリエ。
「いいじゃん、みんななんか関係ねーよ。これが3つ目のプレゼント、派手にロマンティックなキスです」
「これもイイかもしれませんね」
リエとアレクは熱いあついキスをし、それがTVで流される。
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TV中継で2回目も驚かされた、リエとアレクの関係者達。
「・・・・」涙で声が出ないリエの母。
「リエちゃん、よかったね・・」大泣きする島本歌子の頭を撫でる健吉。
「よかった、よかったー」祝杯を上げる近藤夫妻。
「OH UNBELIEVABLE!」「キャー!」驚きのH@RUKA &レオナルド・クルーズ。
「リエくんもアレクくんも、もう繊維課に戻ってこないのか~」涙を流す秋山部長を慰める妻。
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この幸せな会見場の中、一人沖田だけが不満げな顔でグチている。
「あいつら、俺がくっつけたから今があるんだ。感謝しろよ」
トオルはアレクの幸せに感動して泣きながら沖田に言う
「沖田さん、警官の先輩に言うのもなんですが、そんなんだからモテないんですよ。だから若山さんを健吉さんに取られたんですよ」
「うっ・・」息が詰まる沖田だった。
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