第21話 初ライブ。我的家在山的那一邊
ライブハウス「REY MOMO」
H@RUKAが揃えたバンド(G、Ba、Key、Dr、Cho)が待機するステージにリエが現れスタッフからマイクを渡される。
満員の観客フロアーには若山、健吉、秋山部長、H@RUKAの顔が見える。
「こんばんわみなさん、仲河リエです。ここに入る前にアレクさんが撃たれて病院に担ぎ込まれました。病院について行っても私はどうする事もできませんので歌おうと思います。よろしくお願いします」
観客が固唾を呑んで見守る中、リエは歌い出す。
————————————————————————————————————
1曲目「SWEET CHILD O` MINE」
ガンゼンローゼスの大ヒット曲でシェリルクロウもカバーした名曲だ。
リエはこのスローテンポのロックバラードを切々と情感を込めて愛の歌を唄い上げる。
初ステージの素人と訝しんでいた観客の大半は、名曲を完全に歌い切ったリエの力量に圧倒され魅了されて行く。リエの歌の可能性に急に気づき、急いでスマホを取り出しリエのステージを撮影しだす何人かの観客。
2曲目「星影の小径(ちあきなおみ)」
3曲目「I wanna dance with somebody(Whitney Houston)」
4曲目「never enough(movie:the greatest showman)」
とカバー曲を歌い上げ、観客を最高潮にあっためていくリエ。
————————————————————————————————————
観客フロアーでは、健吉とH@RUKAがLINEで会話する。
「シンドそうな技術力のいる曲ばかりよく歌わせたな。リエちゃんは歌い切ったけど」
「アタシが仕込んだのもあるけど、リエさんは伸びるわよ。でもね健ニイ、ここからがあの子の真価かもしれない」
————————————————————————————————————
5曲目「我的家在山的那一邊」
キーボードのピアノ音の伴奏だけで曲が始まり、リエは中国語で歌い出す。
————————————————————————————————————
健吉とH@RUKAのLINE会話。
「中国語?」
「ええ、「私の家は山の向こう」テレサ・テンが歌った中国の曲。国を追われた人たちが故郷を懐かしんで唄ったプロテストソングよ」
「国を追われたアレクさんの為に歌ってるのか」
「ええ、政治的メッセージ強いかと思ったけどpeople’s songなので歌うの許可したわ」
5曲目が終わった。全編、中国語で歌詞は話わからないがリエの表現力が観客に伝わり感極まって泣き出す観客もいた。
若山が泣いていたので、健吉はハンカチを若山に差し出す。
H@RUKAから健吉へLINE。
「健ニイ、最後の曲はリエさんのオリジナル。アレクさんへの思いを綴ったラブソング。この子シンガーソングライターもイケるかもしれない」
————————————————————————————————————
6曲目「寒い国から来たあなたへ」
ミディアムテンポのラブソング。
リエはこの場所にいないアレクに向けて愛の歌を歌い上げ、その歌詞と表現力が心に突き刺さり、男性客は聞き惚れて女性客は涙を流す。
泣いてる秋山部長に健吉がLINEする
「秋山さん、感動して泣いてるのですか?」
「いい曲だけど、リエくんは繊維課から巣立って歌手になるなと思ったら泣けてきてね。繊維課にずっと居てほしかったよ」
「さいでっか」
こうして6曲目も終わり、観客から万雷の拍手が起こり初ステージを大成功におさめたリエだった。
ハンカチで涙を吹いてる若山に話しかけるエレナ「若山さん、ウチのレオナルド・クルーズ知りません?どこにもいないのよ」
フロアーにいる何人かの観客は、世に広めなければいけないと言う義務感から、撮影したてのリエのライブステージを直ぐにSNSへアップロードしていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます