第14話 同棲生活!SWEET DREAMS ARE MADE OF THIS

数日後、高円寺。

 リエの部屋にアレクが自分の荷物を運び込んでいる。

アレク、リエ、沖田が病院で侃侃諤諤の論争の末

(ほとんど「離れないっ!」「ホテルに移れっ!」のラリーだったが)、リエの部屋にアレクが居候して、沖田が元アレク部屋に常駐し公安監視部屋として使用することになった。

 部屋には盗聴器を付けない、カメラは玄関とベランダ外に限定設置の条件でリエは同意する。

 リエは満面の笑みでニコニコしてアレクの引越し風景をベッドに座って眺めている。

「リエさん、サボってないで手伝って下さい」

「ふふ」

「リエさん、何ニコニコしてるんですか?」

「だってアレクセイさんと一緒に住めるなんて夢みたいで。その上、イタリア貴族じゃなくて北の国のスーパービジネスマンって言うのがリアルにかっこよくて、少女漫画みたいな私。キャッ」

自分自身の妄想に溺れて恥ずかしくなってるリエ、枕に顔をうずめる。

「何言ってるんですか。面白いな」

 アレクが荷物を下ろしてリエに顔を近づける。

「アレクさん、えっ」

アレクとリエはキスする。

 熱いキスして離れない二人。

キスが止まらなくなり、二人は見つめあって次の段階に進もうとするが、その時ピンポーンと玄関チャイムが鳴る。  

 チャイムに興を削がれた二人はイチャつきを辞め

「玄関見てきます。リエさん、作業してるフリして下さい」

アレクが玄関に行く。

「DAM」

悪態を吐きながらアレクが玄関を開けると、ドアの前には沖田が立っている。

「何だよ沖田」

不機嫌そうに呟くアレク。

「悪いな、監視カメラのチェックだ。すぐ終わるから」

沖田はiPADを持って室内に入ってくる。

「リエさんどうも」

「はい」

イチャつきを途中で止められ欲求不満気味のリエの返事はおざなりだ。

 沖田は、iPADの画面を確認しながら玄関カメラとベランダカメラの画角調整を行っていく。

 作業しながら二人に話しかける沖田

「外務省の外事課からの連絡が昨日入った。アレク、お前を狙撃した奴は旧ロシアの兵隊崩れのグスタフォ・ワリシコフという男らしい、金で何でも請け負う殺しのプロだ。羽田空港の入国映像とこの前の狙撃映像から解析してこの男の犯行と言って間違いないだろう」

「アレクさん、怖い」

アレクの左手を両手で握るリエ。

「大丈夫、リエさん」

アレクはリエの頭をなでなでしている。

 カメラの調整作業が済んだ沖田は玄関に向かう

「俺たちは現在、都内にこのワリシコフが潜伏してると睨んで鋭意捜索中だ。できる限り早く奴を逮捕して、極東連邦の政変の黒幕を炙り出す」

 玄関のドアを開けながら振り向いた沖田がアレクを指さして

「そしてアレク、お前には早く極東連邦に帰ってもらう。嫌いだからな」

「俺もだ」

沖田に中指を立てるアレク。

「あとね、アレクとリエさん。イチャつく時は玄関のカギは閉めて下さい。さっきのキス、カギ掛かってませんでしたよ」

と言い終わるとリエの部屋を出て行った沖田。

「沖田、FUCK」

玄関の鍵を締めてリビングに戻ろうとするアレクだったが、再度玄関チャイムが鳴る。

「沖田、ひつこいぞ」

アレクが怒り気味にドアを開けたら

「どうも」

アレクの怒気に引いてる健吉と若山がいた。

ちょっと恥ずかしいアレクは、気を取り直して

「若山さん、健吉さん、どうしたんですか?」

「いやね、健吉さんの古着屋へ遊びに来たついでに、同棲始めたリエとアレクセイ・フローロヴィチ君の所に遊びに来たの。リエチャン、ケーキ買ってきたわ」

ニヤニヤしながら喋る若山唄子

「俺も極東連邦の偉い人のアレクセイさんに会いにきました。酒とツマミもありますよ」

コレまたニヤニヤして酒瓶を見せる健吉。

「はいはい、極東連邦のアレクセイ君とリエさんが住む家へようこそ」

めんどくさそうに笑いながら二人を家へ招き入れるアレクだった。


 4人は、アレクの素性を中心とした会話で盛り上がり、夜遅く深夜まで酒盛りして、会はお開きになった。

「じゃあ我々はこれで!」

「おやすみなさ~い」

リエとアレクは若山と健吉を見送り、玄関のドアが閉まると。

「ねえねえ、若山さんの家って早稲田の方なんですよ。今は午前1時だけど高円寺からタクシーで帰るのかな?」ニヤニヤしてアレクに問いかけるリエ。

「うーん、上のフロアーの健吉さんの部屋に行くんじゃないですか?奥さん?」

アレクもニヤニヤしてる。

「まあ、あの二人お熱い事ですわ、ホホホホホホ」

貴婦人みたいな笑い方をするリエとアレクだった。

「リエさん、我々も寝ましょうか」

「はい」


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 照明を消して暗くなった部屋。寝ようとする二人、アレクは床で寝ようとする。

「アレクさん、床で寝ないでベッドで寝て下さい」

「でも、一緒に寝たらベッドが狭くてリエさん寝れないですよ」

「私はちっちゃいのでベッドの狭いところでも寝れますから。いいですから」

「そうですか」

アレクはリエのお言葉に甘え一緒のベッドに寝る。

「リエさん、寝ましょうか」

「はい」


ベッドに入って背中合わせの体制になって数十分経つが、二人とも目がらんらんと冴えて緊張して寝れない。

二人の呼吸音だけしか聞こえない室内。

「リエさん、寝ましたか」

「いいえ、まだ寝れないです」

「そうですか」

「喉乾いたんで、ワタシ水飲みます」

リエがベッドから起き出して、アレクの上を越えようとする

「アレクさん跨ぎますね、キャッ」

不安定なマットレスの上でリエがバランスを崩してアレクの上に倒れ込み、ベッドから落ちないようにアレクがリエを両腕で抱え込む

「ごめんなさい」

「いいえ」

リエは起きあがろうとするが、アレクはリエを抱えてる両腕を外さない

「アレクさん、外して下さい」

「いやですか」

リエは返答せずにアレクにキスをする。

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