第7話 THE FIGHT IN YAKITORI RESTAURANT

 アレクが貴州共和国のディーラーと50億円の商談をまとめた日の夕方。秋山部長の発案で、アレクの歓迎会が高円寺の焼き鳥屋「 ME IN HONEY」で行われた。アレク、リエ、若山、秋山部長を擁する菱菱商事繊維課一同と沖田、近藤明日香が出席した。


 秋山部長は立ち上がり、右手にビールの入ったコップを持ち、ご機嫌に乾杯の音頭を取る

「今日はアレクさんの歓迎会とアレクさんが成立させた50億の商談を祝いまして飲み会を開きます。全て私の奢りですので、皆さん好きに飲んでください。乾杯!」

「カンパーイ」乾杯する繊維課一同。

 今回の主賓のアレクを中心にみんな楽しく盛り上がって飲んでいる。

「アレクさんは貴州語もできるんですね」

「ええ」

「何ヶ国語話せるんですか?」

「15ヶ国語位できますね」

「すっごーい」

「大学はどちらですか」

「オックスフォードで経営学と物理学を修めました」

「おお」


 リエはアレクに話しかける

「今日はクレームの件ありがとうございます」

「いえいえ、出社したらゴタゴタしてたんでなんとかしなきゃって思いまして」

「アレクさん、昼のクレーム処理と商談からなんですが。イタリアとかヨーロッパでの仕事はやっぱりハードなんですか?クレームがあればすぐに対応して、素早く商談に結びつけるとか」

「そうですね、上品な話ではないですがヤルかヤラレルかのビジネスになりますからね」

「大変ですよね。でも、アレクさんってやっぱりイタリア貴族の人だけあってカッコイイですよね」

驚くアレク

「えっ、貴族っ?」


 沖田は若山に気があるようで、楽しそうに会話している

「若山さんはどこ出身ですか」

「大阪です」

「そーなんですか、僕は親戚が大阪に住んでまして、へへっ」


「キャっ」別席の酔客がリエに絡んでくる、でかい体格のむさ苦しいラッパー風の男だ。

「なあ姉ちゃん、俺の席でお酌してくれよ」

「嫌です」嫌がるリエ。

 立ち上がろうとした沖田より先にアレクが酔客ラッパー男を諌めにかかる。

ラッパー男はアレクよりは小さい、180cm台後半か。

「まあまあブラザー、女の子に絡むのやめて楽しく飲みましょうよ?」

リエと酔客の間に入り、その距離を開けていくアレク。

「なんだ~外人さんよ~」

逆ギレした酔客ラッパー男がアレクに掴みかかり襲いかかる。女性客から悲鳴が上がる。

「ぶっ飛ばすぞ、テメー」

ラッパー男からの大振りのパンチをアレクはスウェイバックでよける。

アレクは

「正当防衛だぞ」と呟き、右のロシアンフックを顔面に一発叩き込みラッパー男を店内の床にノックダウンする。

 眼前でヒッティングの瞬間を見ていた近藤明日香が呟く「外国人の喧嘩動画まんまじゃん」


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 沖田が警察に連絡するとスグに私服警官が来て酔客ラッパー男を連行していく。

ゴツい体の私服警官だ。その私服警官と近藤明日香と沖田が知り合いのようなそぶりを見せる。

「早過ぎるくらいスグに警察来たわね。リエちゃん大丈夫?」

「まあ何とか・・・あのプロレスラーみたいな警官と近藤さん達知り合いなんですかね?」

その仕草に違和感を抱くリエと若山。


「連れが暴れて申し訳ありませんでした。後日、謝罪させていただきます」と酔客ラッパー男の連れである長髪細身髭男性が、アレク達に謝罪して焼き鳥屋を出て行く。

 若山がアレクを褒める

「あんた強いし賢いしカッコいいし、完璧人間じゃーん」

「ハハハッ」照れるアレク


アクシデントはあったが歓迎会はその後、楽しく継続し平和裏に終了した。

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