第5話 二人の朝。THE MAGIC FLUTE PAーPAーPA DUET
翌朝。
パチっと目が覚めたリエは異変を感じる。
自分の部屋で無い事はスグ判ったが、数秒間どこか判らず天井を見つめたまま昨日の記憶を巻き戻してみる。
アレクさんと喧嘩して和解して買ってきた焼鳥を一緒に食べて片付けを手伝おうとしたらビールに飲まれて意識がなくなり・・・・・もしかしてアレクさんの部屋で寝てるのか?
初めて男性の部屋で寝たのだろうか?
認めたく無いけどアレクさんの部屋で一晩寝てしまった様だ・・・・・それを自覚するとカーッと顔が赤くなったリエだったが、ハッと気付いて跳ねるように上半身を起こし、シーツをめくって覗き自分の胸元も見る。
ジーンズとパーカーは着ている、裸じゃないし着衣の違和感も無い、昨日の夜は何も無かったのだろう。
アレクさんのベッドで自分が寝てるのに、ベッドの所有者のアレクさんがいない。どこにアレクさんは居るのか?
室内を見回す。窓から朝日が差し込み明るくなった室内、床に寝ているアレクさんが居た。
ハイブランドのジャケットを体にかけてベルルッティのカバンを枕がわりにして寝ている。
ワタシにベッドを明け渡したんで、シーツ代わりに高級なジャケットをかぶって寝ていたのか。
申し訳ない気持ちになるが、一緒のベッドに寝なかったのはホッとする様な残念な様な複雑な気分のリエだった。
リエの物音に気づいたのか、アレクも目が覚めたようだ。
「あっ、おはようございますリエさん。酔っ払って寝ちゃってましたよ」
「はい・・・」いたたまれないリエだ。
「ワタシ、アレクさんに失礼な事言いましたか?」
「まあ・・・」アレクは顔をポリポリ描きながら自分の腕時計を見て「あっ、僕はあとで出勤するけどリエさんは出勤時間でしょ。今、朝7時半ですよ」
「キャーッ、アレクさんごめんなさい。又、会社で」慌ててベッドを飛び出し、アレクの上を飛んで跨ぎ、自分の部屋へ帰っていくリエ。
「はい~」やはり面白い子だなと思いながら見送るアレクだった。
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