↓第23話 しーふーどの、ひみつ。

「ぷはぁー! いいお湯でしたー!」


 すっきりした顔をした迷子たちは、星蓮荘の食堂を訪れる。

 肌はすべすべ。心はぽかぽか。

 三人とも浴衣姿で、すっかりリラックスした様子だった。


「は~い、おまたせしました~!」


 そこへ澪が料理を運んでくる。

 星蓮荘の宿泊客は迷子たちだけなので、食堂は貸し切り状態。

 四人席のテーブルに、豪華な海鮮料理が並んだ。


「すげー! これみおっちがつくったのか!?」


 うららが目を見開く。

 目の前には姿づくりの鯛や、今にも飛び跳ねそうな伊勢海老の刺身。

 そのほかブリやイカなど、星蓮海岸の近海で獲れたいろんな魚介類が大皿に盛られていた。


「包丁捌きは、おばあちゃん譲りなんです。さ、新鮮なうちにどうぞ!」


 迷子たちは席につくと、さっそく両手を合わせて、


「「「いただきます!」」」


 一斉に箸を伸ばした。


「うおー! なんだコレ!? プリップリのヤバうまー!」


 切り身を口にしたうららが、興奮した声を上げる。

 まるで本能に従うように、次々と海の幸を口に運んだ。


「あむっ! ハグッ! ングング……! ん~ッ、最ッ高だぜ~!」


 箸が止まらない。

 至福の時を堪能していると、ふと食卓が静かなことに気がついた。


「――ン? 二人とも食べないのか?」


 よく見ると、切り身を口にした迷子とゆららの動きが止まっている。

 彼女たちの口に合わなかったのだろうか?


「ど、どうしたの迷子ちゃん?」


「いや、すみません。みおちゃんの料理がマズいわけではないんです」


 するとゆららも、何かに気づいたように視線を上げて、


「メイちゃんも気づいたのねぇ?」


「……はい」


「な、なんだよ二人とも? 何に気づいたんだ?」


 話が読めないうらら。

 澪も気になるようで、その意味を視線で問うた。


「――みおちゃん」


 迷子は料理を飲み込み、静かに口を開く。

 迷探偵から語られた言葉は、事件に関する内容だった。


「もう一人、秘密を隠している人がいます」





――――――――――――

●お読みいただきありがとうございます。

 次回もお時間のある方は、ごゆるりとお立ち寄りください。

 それではまた(^^)

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