第213話 いやいやい、それはあかん
一夜明け、レオルドは帰宅の準備を整える。まあ、着替えといった手荷物しかないから時間はかからない。
最後に家族と別れの挨拶を済ませてレオルドは部下と共にゼアトへと戻っていった。
ほんの数日しか空けていないが、久しぶりに感じるレオルドは屋敷の中へと入る。
屋敷へと戻ったレオルドは一旦情報を纏める為に自室へと篭る。
久しぶりに隠していたマル秘ノートを手に取り、机の上で広げる。そこには
今回、闘技大会で得られたのは、この世界の強者達の実力とジークフリートの現状。
前者は、絶望感が凄まじい。レオルドも死の運命を避ける為に日々鍛錬を積んでいるが、まだ弱い。
それでも、今のレオルドは王国でも上から十番以内に入るくらいは強い。これだけでも十分なのだが、レオルドからすれば物足りない。
どうして、そこまで強さに拘るのかといえば、レオルドが死ぬ原因の多くは他殺であるためだ。
だからこそ、レオルドは強さを手に入れ抗う術を身に着けなければならない。
後者に関してレオルドが出来る事と言えば助言を促して強化させるくらいだ。だが、重要事項でもある。
ジークフリートは覚醒し、今後更なる成長を見せるだろう。世界がどのような展開を見せていくかは不確かだが、ジークフリートが鍵となるのは確かである。
運命48であればジークフリートが覚醒するのは学園を卒業後、騎士になってからだ。騎士になったジークフリートは任務をこなしていき、長年王国の頭を悩ませていた餓狼の牙を討伐する際に覚醒する。
所謂、覚醒イベントである。格上の相手であるジェックスに敗北してジークフリートは己の弱さを知る。
そして、仲間やヒロインに励まされてジェックスと再戦。その時に今まで謎に包まれていたジークフリートのスキルが覚醒してジェックスを倒すといったものだ。
悲しい事にジェックスもレオルドと同じように必ず死んでしまうキャラであった。レオルドが
ただ、今はジェックスが貴族から盗んだ不死鳥の尾羽という蘇生アイテムを手に入れるためにレオルドが仲間にしているので死ぬ事はないだろう。
そのおかげでジークフリートの覚醒イベントが消えてしまったが、闘技大会で覚醒したので結果オーライだ。
「ただな~、まだジークは自分の力を把握しきれてないから弱いんだよな」
まだ覚醒したばかりのジークフリートは戦力にはならないだろう。
ならば、今後の課題としてレオルドはジークフリートの強化をすることにした。
「……乱交でもさせるか?」
極論であった。確かにジークフリートのスキル、絆の力は結ばれたヒロインが多ければ多いほど強くなる。さすが、エロゲの主人公。涙の数だけ強くなれるヒロインがいれば、女の子が沢山いれば強くなれる主人公がいてもおかしくはない。
しかし、ジークフリートが本格的にヒロインと結ばれるのは先の話だ。正確に言えば、ジェックスを倒した後からである。
恋人でもなければ婚約者でもないのに、性交に至るのはおかしな話であるが、エロゲなので仕方がない。そう仕方がないのだ。
だって、Hしないと
その点をよく指摘されていたのは言うまでもない。まあ、逆に面白い事を言われていたりもする。
「世界中の女と犯れば最強じゃん」と。
理論上ではそうなのだが、その前にジークフリートが腹上死すると公式が述べていたが、「いやいや、四十八人に加えてDLCの十六人を合わせて六十四人ものヒロインと乱交する絶倫主人公ですよ。可能かもしれない!」などと購入者から突っ込まれている。
ちなみにレオルドというより真人も同じような考えである。
ジークフリート最強計画を始動させる時が来たのかもしれない。多くのプレイヤーが考え、導き出した全世界の女とジークフリートを結ばせるという壮大で果てしないバカな計画。
「ふっ……まあ、心身ともにだから無理なんだがな」
そう、レオルドが呟いた通り、絆の力は強力であるが信頼関係も結ばなければならない。
あえて言うなら愛のない
色々と脱線してしまったがレオルドは今後の流れを纏める事にした。
まずはジークフリートの身辺調査で今後の展開を予想。次にジークフリートの強化。これは、難しいかもしれないが、重要事項なので必須。
そして、自身の強化も必須だ。さらにゼアトの防衛を強化させる為に兵器開発や軍備の強化だ。ただし、慎重にしなければ王国から不信感を持たれるので国王と相談。
やる事は決まった。
あとは今までどおり必死に頑張るだけだ。色々と各地を走り回る事になるかもしれないが、レオルドは死なない為にもやり遂げるしかない。
「さて、今日も一日頑張るとするか」
マル秘ノートに今後の計画やゲームの役立つ知識を書いたレオルドは部屋を出て行く。
部下達を集めて今後の計画を話し合い、レオルドは未来に備える。いつか来るであろう死の運命に抗う為、レオルドは今日も奮闘する。
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