第8話 少女、冒険者として活動する

 実力を確かめる戦いが終わり、ギルドに戻ると猫耳の受付嬢が対応した。


「これから?どういうこと?」


 疑問に思い尋ねると、


「ギルドマスターの判断により私があなたの専属受付になりました!よろしくお願いしますね。」


 どうやら、彼女は私の専属になったらしい。


「えぇ、よろしく頼むわ。私の名前は宵桜氷雨よ。」


「はいっ!私はミーコと言います!」


 どうやら彼女はミーコと言うらしい。そういえばあの大男達の名前はなんなのだろうか?まぁ、それよりも今は冒険者についてだ。


「えっとミーコ、早速だけど冒険者のことについて色々と教えて貰っていい?」


「はい!もちろんです!」


 そう言ってミーコは、色々と説明してくれた。


 冒険者はF級から始まり、S級まである。またそれぞれのランクにあった依頼があり、各ランクの依頼を一定数連続して達成するとランクが上がる方式のようだ。


 そして驚くことに、私のランクはCからだった。理由を聞くと、


「ヒサメさんの相手になったパーティーはセルゲイさん達でして、彼らのランクがAでしたので、本来ならヒサメさんもAランクになるはずだったのですが色々と問題があり。」


 というわけらしい。まぁそれでも1番下からするよりはマシだろう。


「えぇ、そこのとこはちゃんと理解してるから大丈夫よ。それよりも、Cランクでも1番下の依頼は受けれるのよね?」


 基本は大事だからね。私はまだこの世界のことを知らない、ならばいきなり同ランクの依頼よりも下の依頼を受けた方が良い。


「はい。問題は無いですけどいいのですか?1番下となると薬草集めなど基本的なものしかありませんが。」


「問題ないわ。むしろここで基本を学んでおかないと後々苦労することになるからね。」


「そういうことなら分かりました!すぐに用意しますね!」


 するとミーコは数枚の依頼を持ってきた。


「こちらがその依頼ですね。どれにしますか?」


「えっと、1番使う薬草のでお願い。」


「でしたらこちらになりますね。」


「あ、後図鑑とかって借りれるかしら?こういうのは初めてで。」


「はい。初心者用に貸し出しているものがありますので、ちょっと持ってきますね。」


 ミーコは奥へ行き、手帳サイズの本を持ってきた。


「こちらです。紛失しますと今後の報酬から引かれますので注意してくださいね。」


「ありがとう。無くさないように気をつけるわ。」


 そう言って私はギルドを後にした。


 それからしばらく移動して、目的地に着いた。


 そこは魔の森と呼ばれており、奥に山がある。ただその山に近づくにつれ魔物が強くなり、余程の手練出ない限りは近づかないという。


 今回の目的の薬草は基本的に浅いところにあるので初心者におすすめのようだ。


「さて、最初の依頼だし早く終わらせましょうか。一応この世界の魔物とやらの強さも把握しておきたいしね。」


 探し始めて数分で目的の個数集まった。初めの1つを見つけるのに手間取ったが、特徴さえ掴んでしまえば早かった。


「よしっ。これで依頼の分は集め終わったわね。あとは魔物とやらの強さを確かめましょうか。確か、奥に行けば強くなるって言ってたわね。行きましょうか。」


 奥へと進んで行くが、妙なことに魔物と遭遇しない。


「おかしいわね?結構奥に来たはずだけど、1匹も遭遇しないわね。ちょっと山の方に行ってみましょうか。」


 そうして山の方へと進んで行ったが、やはり魔物に遭遇しない。


「ん〜?やっぱりおかしいわ。ミーコから奥には強い魔物がいるって聞いたのに、1匹もいないなんて。ん?あれは――」


 山の頂上から4人組が、駆け下りて来た。それも焦った様子で。よく見ると竜に追われている。しかも遠目からでもわかるレベルで怒り狂っている。


「うわぁ、あれ絶対何かやらかしたわね。多分あれが原因で魔物がいなくなったのね。」


『――さん』


「うん?何か聞こえたわね。」


 耳を澄ますと、今度はちゃんと聞き取れた。


『貴様ら、我が縄張りを荒らして、許さんぞ!』


「はっ?」


 何故か竜の言葉が分かってしまった。それもはっきりと。


「ほうけてる場合じゃないわ、ひとまずあれを止めないと。えっと、魔法を発動させるには確か――」


『ただでは済まさん!貴様らの種族共々根絶やしに――』


「うっさい!集中できないでしょうが!」


 バゴーンッ!


「「「「ぇぇええええ!?」」」」


「あんたらもちょっとそこに座ってなさい!」


「「「「は、はい!」」」」


 こうして1頭と4人は大人しくなった。ほぼ八つ当たりで


 それから数分後・・・


「そうだ!魔力を変換するんだった!確か詠唱が必要とか言ってたけどイメージでもどうにかなるはず。って、あら?あなた達なんで正座してるの?」


 少女は八つ当たりしたことを完全に忘れていた。

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