【番外編】レティの鉄道講座 そのに
「はいっ!ということで〜…今回もやってまいりました『レティの鉄道講座』!第二回です!」
「…何かユー○ューバーみたいな出だしだね」
「今日もアシスタントに『K』さんを迎えて進めていきたいと思います!」
「え、え〜と…Kです。よろしくお願いします(この間私の名前バラしてたと思うんだけど…)」
「今回のテーマはズバリ、『レールと車輪』だよ!」
「まあ、それが無いと始まらないもんね」
「その通り!鉄道には様々な部品があって、どれもが欠かせないものだけど…とにかくこれが無ければね」
「でも、そんなに語ることってあるの?本編で結構詳しく話していたじゃない」
「まだまだ色々話せることはあるよ!まあ、一番のキモであるカーブをスムーズに曲がることが出来る理由については本編で語った通りだね」
「うん。車輪の断面を見ると踏面が斜めになってるんだよね」
「そう。カーブだけじゃなくて、直線で中心からズレたときでも復元力が働くので、とっても重要な構造なんだよ。あ、因みにそうやって中心に戻ろうとする動きは『自己操舵性』と言うよ」
「なるほど〜。でも、実際の電車の車輪とか見ても傾斜がついてるのは分からなかったなぁ…」
「ああ、それほど急角度じゃないからね。あまり傾斜がキツイと今度はカーブで抵抗が強くなるから。パッと見だとそれと分からないくらいの角度だよ」
「へぇ……他にも何か工夫はあるの?」
「そうだねぇ…後は車輪の構造かな。二つの車輪が車軸で固定されてるのが基本だね。車輪と車軸を合わせて輪軸って言うよ。で、車輪ってただの円盤じゃなくって…輪心とタイヤが組み合わさった構造なんだ」
「へぇ…列車にもタイヤがついてるんだ?」
「もちろん自動車と違ってゴムじゃなくて金属なんだけどね。摩耗したら交換するのは同じだね。で、タイヤは踏面と脱線防止のためのフランジが成型されてるの」
「フランジって内側の出っ張ったところだよね」
「そう。あれがレールに引っかかって脱線するのを防ぐんだね。で、ここまで話しておいて何だけど……実は今の日本の車両だと輪心とタイヤは一体になってるケースが殆どなんだ」
「あ、そうなんだ。そのほうがシンプルだね」
「そう、強度的にも有利だったりするからね。他にも色々な構造があるけど…例えば車軸に固定されず車輪の一つ一つが独立した構造もあったり……まあ語りだすときりがないから、詳しくは○ィキで」
「(ああ…面倒くさくなったんだね)」
「じゃあ次はレールについてだね」
「レール…鉄道の名前の由来だよね?」
「そだね。まさに鉄の道だもんね」
「構造自体はそんなに複雑じゃないけど…これも色々な工夫がされてるんだよね」
「もちろん。先ずは断面形状だけど、Kさんはどういう形をしてるかは知ってるかな?」
「えっと、アルファベットの「I」の字型だよね?」
「そうだね。現在のレールは車輪に接する頭部はやや厚く、地面側…底部の方は広く薄い形なので、完全な「I」の字型ではないけど」
「でも、なんでそんな形をしているの?」
「鉄道の黎明期では、車輪も含めて形状が違っていたんだけど……レールは「L」字型で、車輪にはフランジが無かったんだ。レールの垂直に立った部分が車輪のフランジの役割を持っていたんだよ」
「ふむふむ」
「で、効率的に車輪が転がるように突き詰めていった結果が今の車輪とレールの形状ってことだね」
「ほうほう」
「転がり抵抗を最小限に、カーブを曲がりやすく、ということで車輪とレールが接する部分の形状が決まったんだね」
「なるほど。…でも、「I」の字型…
「ああ、あれは…材料を節約するのが第一の理由みたいだね。レールと接する頭部は摩耗するからある程度厚めに、地面に接する底部は設置安定性を高めるのと、枕木に固定しやすいように広く薄く…その結果があの形ってこと」
「う〜ん、なるほど……レール一つとっても奥深いんだね…」
「そう。長い時をかけて少しずつ改良を重ねていったんだよ。レールの継ぎ目もそう」
「継ぎ目?」
「うん。延々と長いレールを作ることはできないからね。輸送のことも考えると尚更。だからレールには継ぎ目ができる」
「それはそうだね。ガタンゴトンって音は継ぎ目があるからなんだよね」
「そう。でも最近の電車ではあまりガタンゴトンって言わないじゃない?」
「そう言えばそうかも?」
「あれはね、ロングレールって言って、現場で溶接して継ぎ目を消してるんだよ」
「ふ〜ん、じゃあ、全部溶接しちゃえば良いんじゃない?」
「ところが、そういうわけにはいかないんだよ」
「なんで?」
「金属は気温によって収縮・膨張するからね。全部繋げちゃうと
「そしたらどのみち継ぎ目のところで衝撃が発生するってこと?」
「いや、それも工夫があって…昔のレールの継ぎ目って、進行方向に対して単純に垂直方向に交差する形だったんだけど…今のレールはこれを斜めにすることで衝撃が発生しないようにしてるんだ」
「へぇ〜、賢いねぇ」
「凄いでしょ?こんなふうに、車輪もレールも、その形状がとても重要なんだよ。効率性と、何よりも安全性を考えて作られている。……私も記憶を頼りに取り敢えず設計してはみたけど…実用化までには何度も試行錯誤することになると思うよ」
「遠い道のりなんだね…やっぱりレティは凄いよ」
「えへへ〜、もっと褒めて。…でも、Kさんにもっと早く会ってたら色々楽ができたのにな〜」
「へ?何で?」
「ホラ、あのチート魔法、[変転流転]があれば金属加工はラクラクでしょ。試作もバンバン作れる」
「いや、あれって魔力消費が凄いからバンバン作れはしないと思うけど…」
「というわけで〜、今回の講義はここまで。また次回をお楽しみに〜」
「ありがとうございました〜!」
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