第11話:相部屋!?

「んん、んまっ」

「うにゃうみゃうにゃみゃ」


 手頃な価格の宿へと直行した俺たちは、真っ先に風呂へと入って今は夕食を楽しんでいた。


 野菜オンリーのサラダを、むしゃむしゃと口に頬張る。

 こんなに野菜が美味しいものだとは、知りませんでした!

 その位、本当に美味い。

 それに柔らかいパンだ。

 スープに浸さなくてもいいパンなんて、本当に久しぶりだ。


「部屋に戻ったらスキルのこと、いい?」

「ん? もちろん。俺も今後のスキルでいろいろ考えなきゃいけないし、ついでに説明するよ」


 満足いくまで野菜とパンを堪能したあと、俺たち三人は部屋へと戻った。

 部屋は他にも空いていたけれど、お金を節約するために彼女は俺と同じ部屋でいい──というから、三人一緒だ。


「まずはルナから」

「うみゃあぁっ」

「にゃびは後でな」


 ルナとにゃびのレベルは、揃って10だ。

 二階、一階のモンスターでは、さすがにそう上がらなかったな。


 ステータスポイントは引き続き筋力に。そしてスキルポイントは9になっている。

 弓手が獲得出来るスキルとその効果を彼女に伝えていく。


『鷹の目』:レベルに応じて遠くまで見えるようになる。

「ふぅーん」


『射速』:レベルに応じて、矢を射る速度が上がる。

「いいわね、それ」


『標的認識』:レベルに応じて、より早く敵に狙いを定められる。

「あ、これも欲しい」


『短剣マスタリー』:短剣を使用した時の攻撃力が上がる。

「ふーん」


『集中力強化』:集中力を1レベル毎に+5する。

「弓の攻撃力の底上げ用ね」


『ツインアロー』:二本の矢を同時に射る。

「攻撃スキルね。やっぱりひとつは欲しいわよね」


『アローシャワー』:魔力を込めた矢を打ち、レベルに応じた本数に分裂されて複数の敵に対して攻撃を行う。

「範囲攻撃!? やだ、絶対欲しいっ。どうしよう、絞り切れないわ」


 俺の『集中力プチ強化』は+2しかされないのに、プチが取れると+5まで増えるのか。

 いいなぁ。


「うぅん、悩むところだけど、結局は弓がないとダメよね」

「二人と合流してからは、ドロップも拾ってきているし。そこそこの金額になると思うよ。それに階層モンスターの情報もあるし」

「情報料ね。そういえば各階段にマーキングはしたの?」

「いや、それが……」


 マーキングっていうのが、ギルドから支給される特殊なペンを使って印をつけること。

 こうすることで、ギルド職員の魔術師が転移用の魔法陣を設置する。そうすれば簡単に目的の下層に行けるようになるって仕組みだ。


 マーキング用のペンは俺が持っていた。


「正確には俺が背負っていた袋の中なんだけど……パーティーリーダーが背負い袋を持って行ったんだ」

「じゃあマーキングはなし、か。それがあったら結構な報酬になったんだろうけど」

「そこは残念だと思ってるよ。でもモンスターやドロップ情報料だけでも、短弓ぐらいなら買えると思う」

「で、でもそれはあんたの稼ぎじゃないっ」


 そうだけど、俺は今のところ新しい装備が欲しいとは思わないし、ルーナが遠距離攻撃が出来るようになれば随分楽になると思う。

 パーティーの戦力として考えると、彼女にはぜひとも武器を持って欲しい。


「じ、じゃあ……一番安い短弓で。スキルはもうちょっと待ってみてもいいかしら?」

「うん。慎重になるのはいいことだと思うよ」

「にゃっ、にゃ!」

「分かった分かった。にゃびのスキルは──」


 にゃびのスキルは独特だな。モンスターだからか?

 斥候スキルが一部出てるが、魔法スキルもある。それに聞き慣れないスキルもだ。

 月光の爪もそうだけど、他にもいくつかネコマタ限定っぽそうなスキルがあった。

 その手のスキルは説明しなくても、にゃびは理解していた。


 結果、三人のステータスはこうなった。




【名 前】ロイド

【年 齢】16歳

【種 族】人間

【職 業】見習い戦士 レベル20 +


【筋 力】218+120

【体 力】218+120

【敏捷力】218+120

【集中力】218+120

【魔 力】218+120

【 運 】218+120


【ユニークスキル】

 平均化


【習得スキル】

『プチバッシュ レベル1』『プチ忍び足 レベル10』『プチ鷹の目 レベル1』

『プチ・ヒール レベル1』『プチ・ファイア レベル10』


【獲得可能スキル一覧】+


【獲得スキル】

『筋力プチ強化 レベル10』『見習い職業時の獲得経験値増加 レベル5』

『魔力プチ強化 レベル10』『体力プチ強化 レベル10』『敏捷力プチ強化 レベル10』

『集中力プチ強化 レベル10』 『運プチ強化 レベル10』『プチ隠密 レベル10』


【ステータスポイント】0

【スキルポイント】10



*******●パーティーメンバー*******



【名 前】ルナリア

【年 齢】16歳

【種 族】兎人

【職 業】弓手 レベル10 


【筋 力】30

【体 力】34

【敏捷力】345

【集中力】347

【魔 力】26

【 運 】10


【習得スキル】


【獲得可能スキル一覧】+


【獲得スキル】


【ステータスポイント】

【スキルポイント】9


------------------------------


【名 前】にゃび

【年 齢】35歳

【種 族】ネコマタ

【職 業】ロイドの従魔レベル10


【筋 力】98

【体 力】69

【敏捷力】390

【集中力】49

【魔 力】337

【 運 】406


【習得スキル】

『月光の爪 レベル10』『夜目 レベル10上限』『忍び足 レベル10上限』


【獲得可能スキル一覧】+


【獲得スキル】

『風のマント レベル1』


【ステータスポイント】0

【スキルポイント】14




「にゃび、『風のマント』は1でいいのか?」

「にゃ。効果がよく分からにゃいから、とりあえず1だけにゃ」

「なるほど。使えるスキルならレベルを上げるってことだな」

「にゃ~。ロイドやルナに怪我させるスキルにゃら、使い勝手悪いにゃから」


 ちゃんと考えているんだな。

 俺のほうはステータスポイントを、くっそ面倒くさいけど1ポイントずつ上げて残り0にしただけ。

 スキルポイントは保留。パーティーで必要なスキルってのがあるだろうし。


「それじゃあ明日は冒険者ギルドだ。ドロップ品の清算と、それから事情の説明をしなきゃならないだろうな」

「事情?」

「俺が生きていること。あと君たちのパーティーのことをさ」


 ルイックたちが町に戻って来ていたとすれば──いや、絶対に戻ったはずだ。一番最初に地下一階へと下りる階段を見つけているんだから。

 そしてギルドで、俺が死んだという報告もしているはず。

 いったいどんな報告をしたかだな。正直に「見捨てました」なんて言うはずがないし。


「さ、もう寝よう。今日は誰も見張りに立たなくてもいいし、柔らかいベッドで眠れるぞ」

「んにゃあ~」

「ルナ、その……本当にいいの?」

「な、なにがよ」


 何がって、この状況だ。

 ベッドは二つ。ツインの部屋だ。

 俺とにゃびが一緒のベッドで寝て、ルナがもう一つのベッドを使う。

 二つのベッドは手の届く距離にあるから、その……近い。


「つ、つい立でもあればよかったんだけどなぁ」

「べ、別に……なんの問題もないわよ。それともあんた、私の寝顔をこっそり見ようなんて思ってる訳?」

「い、いや見ないよ! 見ない、絶対。うん大丈夫」


 そう言ってベッドに潜り込むと、シーツを頭からかぶった。

 その中ににゃびが潜り込んで来て、丸くなってあっという間に寝息を立て始める。


 女の子が隣で眠る。そう考えただけで緊張するけれど、にゃびが温かくて途端に瞼が重くなった。


 気づいた時には朝。

 久々のベッドは本当に気持ちいいな。




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