第10話:地上へ
「うにゃっほー!」
月光の爪スキルを上げたことで、攻撃力が格段に上がった──らしい。
それが嬉しくて、にゃびは出てくる敵出てくる敵全てを、月光の爪で切り裂いていく。
「ちょっとにゃび! 私の戦闘練習用も残しなさいよっ」
「うぅん、俺は荷物持ちに徹するかなぁ」
パーティーを組むことで、もの凄いメリットがあった。
「モンスターを倒してるのはにゃびなのに、私のレベルが上がるなんて不思議」
「まぁ何もしていない訳じゃないしね。ルーナだってにゃびが囲まれないように、モンスターの注意を引きつけたりしてるだろ?」
「そう、だけど……はぁ、弓があったらなぁ」
モンスターを倒しているのは確かににゃびだ。
だけどルーナのレベルも上がっていた。
地下三階を移動しながら、囲まれないような状況でいくつか検証をしてみた。
まず、完全ににゃびだけでモンスターを倒して貰う。
倒し終わってからステータスボードを見て、さすがに一匹じゃ分からなかったのでその後も数匹同じようににゃびだけで倒して貰う。
同じレベル1からのスタートだったのに、レベルが上がったのはにゃびだけ。
じゃあルーナは何故レベルが上がっているのか。
直接モンスターを倒さなくても、戦闘に参加していたら経験値を貰えるようなんだ。
モンスターの注意を引いて逃げ回る。
それだけでも彼女のレベルは上がっていった。
で、なーんにもしないでドロップ品だけ拾っている俺のレベルは上がらない。
いや、囲まれた時には俺も加勢をしている。だけど上がらない。
「たぶん俺とモンスターのレベルが関係しているんだろうな。相手のレベルも分かるといいんだけど」
「モンスターをパーティーに入れたらレベルが分かるのかしら?」
「え? モンスターを?」
にゃびをパーティーに入れられるんだから、いけるかも?
試しに安全なスライムで試してみたけど、素手で触ってもステータスボードは現れなかった。
従魔以外のモンスターはダメみたいだな。
「となると、自分よりだいぶん弱いモンスターを倒しても、経験値は貰えないんだろうな」
お宝部屋からスライムを倒していた時と同じだ。
レベルが上がれば次のレベルアップに必要な経験値は増えるはず。
獲得経験値増加があっても、そもそも経験値を貰えなければ効果がない。
最下層で中型を一匹倒したら一気にレベルが上がったけど、たぶんレベル28で下層モンスターの適正レベルに達したんだろうな。
その後、九階、八階でレベルは上がったものの、32でパッタリ止まってしまった。
今思えば魔術師以外の職業に転職させていればよかった……。
「戦士に転職させてっと……」
これでレベルが上がる!
と思ったけど、二階への階段に到着するまでに2レベルしか上がっていなかった。
にゃびやルーナは6まで。
まぁ俺はあまり戦闘に参加していなかったってのもあるだろうけど。
「二人とも、ステータスは弄ってみる?」
「ステータス? ポイントを使って何が出来るの?」
スキルポイントのことは話してたけど、ステータスポイントのことは伝えていなかったな。
試しに俺の……いや、強制的に平均化されるから説明がややこしくなる。
「ステータスポイントは、筋力や運といったステータスに、任意で振り分けられるんだ」
「好きなように? 凄いわね」
「にゃー。おいにゃは筋力! もっと強くなるにゃっ」
「全部か?」
にゃびは頷く。
敏捷力や魔力、運は何もしなくても上がっているようだし、低い数値をステータスポイントで底上げするのは確かにいいかもしれない。
「じゃ、じゃあ私は……私も筋力でっ」
「筋力でいいのか?」
「うん。弓を引くにもそれなりに力がいるの。私、力が弱くて小型の弓しか扱えなくって」
なるほど、それで筋力か。
二人とも、全ポイントを筋力に振って──
【名 前】ロイド
【年 齢】16歳
【種 族】人間
【職 業】見習い戦士 レベル20 +
【筋 力】212+120
【体 力】212+120
【敏捷力】212+120
【集中力】212+120
【魔 力】212+120
【 運 】212+120
【ユニークスキル】
平均化
【習得スキル】
『プチバッシュ レベル1』『プチ忍び足 レベル10』『プチ鷹の目 レベル1』
『プチ・ヒール レベル1』『プチ・ファイア レベル10』
【獲得可能スキル一覧】+
【獲得スキル】
『筋力プチ強化 レベル10』『見習い職業時の獲得経験値増加 レベル5』
『魔力プチ強化 レベル10』『体力プチ強化 レベル10』『敏捷力プチ強化 レベル10』
『集中力プチ強化 レベル10』 『運プチ強化 レベル10』『プチ隠密 レベル10』
【ステータスポイント】6
【スキルポイント】10
*******●パーティーメンバー*******
【名 前】ルナリア
【年 齢】16歳
【種 族】兎人
【職 業】弓手 レベル6 +
【筋 力】26
【体 力】34
【敏捷力】328
【集中力】332
【魔 力】26
【 運 】10
【習得スキル】
【獲得可能スキル一覧】+
【獲得スキル】
【ステータスポイント】0
【スキルポイント】5
------------------------------
【名 前】にゃび
【年 齢】35歳
【種 族】ネコマタ
【職 業】ロイドの従魔レベル6
【筋 力】94
【体 力】69
【敏捷力】375
【集中力】49
【魔 力】321
【 運 】400
【習得スキル】
『月光の爪 レベル10』『夜目 レベル10上限』『忍び足 レベル10上限』
【獲得可能スキル一覧】+
【ステータスポイント】0
【スキルポイント】11
レベルアップしたときに自動増加する能力値が、二人の場合かなり多いな。
俺なんてオール+1しかしないのに。
もう少しスキルポイントが増えたら、またステータス上昇系スキルを上げていこうかな。
「太陽だ……うぁ……俺、本当に脱出出来たんだ」
二十日ぶりぐらいだろうか。
仲間に裏切られ、見捨てられ、最下層に落下してから長かった。
やっと地上に出られたんだ。
外はまだ明るく、太陽が非常に眩しい。
「町までまだ暫く歩かなきゃ行けないけどね」
「でも地上を歩くんだから、気分は全然違うさ」
「うにゃ。馬車が来たにゃね」
「本当だ。もしかしてダンジョンと町を往復しているのかな?」
新しいダンジョンだから、冒険者が多い。
二階まで上がると、かなりの人数の冒険者を見たし。
「乗せて貰えないかな」
「お、お金はどうするのよ。私、持ってないわよ」
「俺は少しだけなら」
「コポトのお金あるにゃ」
「え、でもそれは──」
にゃびがコポトの鞄から巾着を取り出した。
「にゃー。お金に思い出ないにゃから」
「そう、か。とりあえず運賃を聞いてみよう」
馬車から冒険者が降りると、御者は「町行きー。乗る奴ぁいないかー」と客集めをし始めた。
「乗りたいんだけど、ひとりいくらだ?」
「ん? ひとり銅貨五枚。従魔を膝上に乗せるってんなら、そいつぁ銅貨二枚でいい」
にゃびは俺の膝上でいいだろう。
コポトのおかげで、馬車代を払ってもまだだいぶん余る。
町に戻ったらドロップ品の換金しなくても、宿に泊まれそうだ。疲れているし、換金は後回しにしよう。
三人分のお金を払って馬車へと乗り込む。
他にも町へと戻る冒険者を乗せ、馬車は町へ向かって走り出した。
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