<幕間>

ガヤガヤとした食堂。

大量の学生がそれぞれのグループで賑わいを見せている。

来る時間帯を間違えたと思いながら、下田美佳は紙パックジュースをストローを噛む。


「あ、美佳じゃん!お疲れー」

小さい手のひらを向け、新田真紀がやってくる。

「お疲れー」

大学生にありがちな挨拶を交わすと、真紀は隣に座る。

「ねえ、そういえば美佳、この前彼氏と喧嘩したって聞いたけど、その後どうなったの?」

真紀は席に着くなり、首をかしげて聞いてきた。

「ああ、なんとかお互い話して収まったよ。まあ正直言うと彼氏が別れたくないって謝ってきたからさ。私も申し訳なくなっちゃって。」

苦笑いしながら美佳は答える。

「そうなんだー。二人、なんだかんだ長く続いてるし、お似合いなのかな?」

真紀はニヤニヤして茶化すように聞いてくる。

「はいはい、ありがとね。それよりも真紀はいい人いないの?美人だし、その気になれば引く手あまたでしょ。」

美佳はさらりと話題をながすと、真紀に逆質問をする。

「んー。恋愛とかあんまり興味ないしな。前にサークルの先輩から告白されたけど、断ったらその後もぐいぐいアプローチされて、半分ストーカーみたいなことされたから年上にはちょっとしたトラウマがあるんだよね…。」

真紀は目を伏せて話す。

「あー…。そういえばあったね…。なんかごめん。嫌なこと思い出せちゃったかな。」

美佳は少し反省し、声を落とす。

「じゃ、じゃあ年下は?真紀の高校からうちの大学の進学者結構いるでしょ?知ってる後輩とかいない?」

遠慮がちに美佳が質問すると、真紀は上を見上げ、少し考えた後口を開く。


「うーん。それもいないな…。私、学校休みがちだったし、部活も入ってなかったから。後輩とかの関わりは全然。」


「そっか。まあ、恋愛なんて無理にするもんじゃないし、余計なお節介だったね。じゃああたし授業行ってくるわ。」

美佳は励ますように笑顔で言うと、立ち上がって手を振りながら颯爽と去って行った。

真紀も手を振り返した後、頬杖をついて呟く。


「もっと、色んな人と関われば良かったかな…。ま、後悔しても仕方ないし、大学で高校の分を取り返そっかな。」

もやもやした気持ちを振り払うと、真紀は食堂で名物のカレーを頼みに立ち上がった。

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