第9話 バイトNo.4 友人ルート情報 ガラス工場
百貨店での仕事は短時間の割には高い時給だったが、4日分でトータル24000円。1日にしては6000円で高いともいえるが、いかんせん日中はすることが無く、アメリカ村などをブラブラするだけでも昼飯や飲み物が必要で、金はあまり残らなかった。
T子ちゃんとアメリカ村でデートしたのでさらに金が減ってしまった🤣
もちろん、リーダーから他のバイトの紹介も受けたので、次回からは穴埋めのバイトも教えてくれる手配になりました。
今回のバイト仲間から、瓶を壊すバイトの情報があり、次からそれを穴埋め用のバイトをすることにした。
西成にあるガラス工場で、前もって連絡しなくても良いから、通用口横のノートに時間と名前を書いてチケットをもらい、帰りにここで現金で貰う。
チケットに番号が書かれてあり、その番号の工場へと入る。
にぃちゃん、初めてか?このゴム手と前掛け付けて先へ行ってな。中で先輩がやってるの見ながら仕事すればええ。
言われた通り先へ行くと長いベルトコンベアが見えて来た。向こうから瓶がどんどん流れてくる。
コンベアの両側に分かれて先を見ている先輩達がいて、私に声をかける。
初めてか?あんたの立ってる横に緑の缶あるやろ?あの缶には緑色の瓶だけ入れるんや。
その横のは無色や、色ない奴だけ入れるんや!簡単やろ?
ほれ緑!あんたの番や!
慌てて、緑色の瓶をつかみ、緑の缶にそっと入れる。
そんなんしてたら、時間かかりすぎや!どんどん入れなはれ!
1時間ほど経ち、慣れて来た。
周りを見ていると、缶にはドンドン溜まって来るのを、後ろの通路で台車から新しい缶と、溜まってる缶を入れ替える人が居たのに気がつく。
あまりにも周りが暗いのと、忙しくて前しか見てなかったから分からなかったのでした。
3時間でブザーがなってコンベアがストップすると、皆が工場内から出て休憩になった。
タバコを吸ってるので私もその輪に入り、灰皿がわりの一斗缶に向かってタバコの灰を落としながら会話に入る。
みなさん、ここ長いんですか?
ああ、わしは5年やな。他にも最近入った若いのもおるで。にいちゃんは今日からか?
どんなもんかと見がてら、とりあえず今日だけです。
ここは難しいこと言われんしな。名前と工場に入った時間だけや。チケットもらったやろ?あれは大事やからな。帰りにこのチケットを見せて時刻のスタンプ押してもらったら、領収書に名前書いて金もらって帰るだけや。1時間550円。10時間やれば5500円や。税金は取られてるらしいから、遠慮なくもらって帰ればええ。
なんか、すごく場末の感じがする。
見た目で物を言ったらダメだけど、人生でもこうなったら危なそうだ。
5分の休憩が終わり、工場内へ戻る。
◇
◇
◇
◇
結局10時間やって5500円もらって、工場近くの弁当屋で190円の弁当と50円のお茶を買い、公園で食べてから少し休んで帰宅の電車へと向かった。
この仕事はほんとに何もない時用だな。
セキュリティなど無い会社。
多分、今ではもっと近代化して、正社員が仕事してるんだろうけどね。
帰りに電車の網棚にアルバイトニュースを見つけて、何か無いかな?と見るのがルーティンになっている。
電車の棚網には他にも新聞紙や雑誌などいくつもあるので、雑誌を拾いマンガを読む。
ふと誰かの視線を感じて、前を見ると、浮浪者みたいなボロボロの服の男が肩に下げた大きなバッグに新聞紙や雑誌を入れて、私の読んでる雑誌を見つめている。
きみが悪くなり、雑誌を渡すとニカッと笑い敬礼して、前の車両へと移動して行く。
いやぁ、こんな人が居るんやな。
近鉄南大阪線。
結構、濃い人がいます。
通勤時間なら一般の人がほとんどだけど、朝早くや、夜遅いと酔っ払いや変な人が多い。
この当時、東京の環状線では「なんちゃっておじさん」が人気を博していました。
この南大阪線でも、濃いキャラクターのおじさんやおばさんがいましたね。
レースのひらひらついたワンピースのお婆さん。お白粉で真っ白の。口には真っ赤な口紅つけて。
何もしないし、静かなのでいいけど、昼でも異様な雰囲気で客室内の人は黙ってました。夜には居ないので良かったです。怖いもんね。
後は先程の新聞紙おじさん。このおじさんにはライバルがいたみたいで、同じように新聞紙を抱えて車両から車両へと移動してました。
始点の阿部野橋からどの辺りまでが範囲内か分からないけど、少なくとも貴志駅くらいまではうちの学生が見かけてます。
まあ、もういないでしょうけどね。
今はどんな面白い人がいるのか見に行ってみたいです。コロナが終わったら観に行くのもいいかもしれません。
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