第6話 バイトNo.2カフェ・ド・アランフェス③
このT子ちゃん。実はミスタードーナツでバイトで働いてました。J子ちゃんと付き合いだした時に時間的に合わなくて、すれ違ってたんです。
て言う様な話を聞いて
ああ〜!?そう言えばミカンもらったの君だっけ?
背が低いので高校生だと思ってたんだけど、その時の記憶が蘇えりはじめる。
あの時はツインテールだったね〜。
バイトが終わって、店内の席に座って蜜柑の皮を剥いてるのを見て
あ、蜜柑!いいなぁ〜。
と、ジョークで言ったのを
お蜜柑食べます?
と、上品に言う子だなぁと思って
あ〜。貰えるもんは貰うよ!😁
確かこんなシチュエーションだった。
へ〜。こんな偶然もあるんやね〜。
私がJ子ちゃんと付き合い出して、暫くしたくらいに辞めていたらしい。
で、たまたま校舎の近くにある喫茶店で、たまたま見かけるようになったと。
私はいつもは友人達とワイワイやってるし、この子のグループは静かに話してるので、全然気が付かなかったのだ。
まあ、普通は演奏学科の子とは接点がないからなぁ。ピアノで演奏するにしても、小さい頃から習うらしいし、そもそも家にグランドピアノ置いてるのってお嬢様だよね〜。
◇◇◇
卒業制作前なので、会うとしても月に1〜2度くらい。
でも演劇に行く時は一緒に行くようになっていた。
彼女彼氏では無いが、演劇を面白いと思えて感想など話せる友人が出来て嬉しかったのかもしれない。
◇◇◇
アランフェスの店長が、試験中のバイト、誰かいないかな〜?と言ってた。
J子ちゃんの友達も、そろそろ卒業するからバイトの補充は死活問題だった。
あ、T子ちゃん出来ないかな?
ちょっと1人当てがあるので聞いてみます。
T子ちゃんに聞いたら、彼女も専攻に入ってるので、毎日学校に来なくても良さそうだ。ただ、門限があるので夜9時までに帰宅できる時間までという条件つき。
店長に言うと直ぐ面接したい。今日はどう?
よほど困ってるのか、かなりの圧だ。
大学から直接行くことになり、
先輩!私の車で行きませんか?
お父さんが昔使ってた車です。
真っ赤なホンダZ360!
昔、子供の頃、欲しかった車だ。
後ろの窓にはいわゆる水中メガネと呼ばれた特徴あるスタイル。
コンパクトだが、元はバイクから継承されて来たホンダエンジンで、キビキビ走る。
私はまだ免許持ってないのに、この子が車の運転を?
確かに背の低いこの子なら、ホンダZ360は似合う!
いや、似合いすぎだ!
大学の裏手への獣道(というか、駐車場への近道)を慣れた足取りで先に行く。
ちょっと、ちょっと!待って!
すでにゼイゼイ言ってる私を見ながら笑いつつ先に進めるT子ちゃん。
いつもは大人しそうに見えるのに、この子はコロコロと笑う朗らかな子でした。
車に乗り込み、一路、アランフェスへ。
店に入り、店長と面接して、即OKもらえる。
○○君、この間の高校生の子も良い子やし、この子も良いなぁ。良い人間関係ができてるからやな。若いのに凄いな。また人欲しい時は頼むで〜!
と、ブライアン・メイ似の店長がおっしゃる。
ていうか、人をポン引きか何かのように言わないで欲しい。です。
◇◇◇
T子ちゃん、バイトがスタートしました。
四天王寺ちゃんも卒業までもうすぐだし、それまでに誰か押さえておかないとな。
J子ちゃんと別れてすぐに、四天王寺ちゃんが私にベタベタしだしたのでヤバいなと思ってたけど、T子ちゃんを見て、あ、この子やったらしゃあない、手出しせんようにしたるわ。だと?
手出しするつもりやったんか?
ジョークやで!🤣
もう。こいつは本気か冗談か、ようわからんな。
◇◇◇
何度か演劇観た頃に、T子ちゃんと付き合い始めた。
大学でもしょっちゅう会ってるし、夜はアランフェスで一緒にバイトだから、1日の中で一緒にいるのが普通になりつつあった。
明日、1日時間もらっても良いですか?
そう言って、ドライブする事になった。
と言っても、T子ちゃんの運転なんだけど😅
いつもは大人しめのワンピースとかパンプスに小さなバッグなのが、今日はアースカラーが基調の涼しそうなワンピースに、ヒール高めのパンプス。
私はと言えば、重ね着のGジャンにリーバイスのジーンズにロンドンブーツ。
いやあ、これ、住んでる世界がちがうよな😰
日曜日朝、というか早朝からお迎えに来た。
真っ赤なホンダZ360。
運転中は低めのパンプスに履き替えている。
どこへ行くのかよく分からないまま、たんなるドライブだと思い込んでました。
南大阪の河内松原から、ずっと北部、摂津方面に簑面市という緩やかな斜面がある丘陵地に、森や林があり、中に点在する大きな館のような高級住宅、その中の一軒の大きな家の横に車を止めた。
今から30分だけレッスンがあるので、待ってて下さいね。
ええ?と思うまもなく、門横の小さな扉から中に入る。
とりあえず、いつも自分のバッグには小説とか入っているので、それでも読むか〜。
ドアウインドウを開けておいてくれたので、外から涼しい風が吹いている。
しばらくして、何処かからピアノの音が聞こえて来る。3度ほど同じフレーズで音が聞こえて、少し間が空き、ある音の所で強く。聞こえてくる。
これの繰り返し。
少しずつ先に進んだ感じで終了。
ごめんなさい。遅くなりました。
いやいや、レッスンだったんだね。それは重要だから頑張らないとね。
次は、宝塚に行きます。
宝塚?
いつも演劇を連れて行ってくれたので、今日は宝塚です。行ったことありますか?
ええと。行くのは初めて。
宝塚って女の人だけでダンスしたり歌ったりするんだよね?
少ない知識を総動員して話を合わせる。
ここからまた山の中を抜けて宝塚へ行きますよ〜。
T子ちゃんのイメージが少しずつ変わってくる。
宝塚に着いた。
駐車場は少し離れた所から歩いて行くのだそうだ。
宝塚自体初めてなんで、まさしくおのぼりさんだ。
簑面でもそうだったが、ここでもなんか場違いな感じがして仕方がないです。
とにかく、通りでは女性しか見かけない。
カップルで歩いてるのさえ少ない。
ほぼほぼ女性のグループだらけだ。
宝塚大劇場の前の喫茶店でお茶を飲む。
店内も男性は私とあと一人だけ。それもいかにもの紳士な男性。
ちょっとチケットが取れるかどうか聞いてきますね。
ああ。星組とか雪組とか言うグループだよね?たしか。。
暇なので喫茶店内で探検、探検。
なんだろ、ブロマイドっていうんだっけ?
それが壁一面に貼られている。
グループごとになってるようで、一番上のセンターには男役のひと。その両側に女役の数人。
いやぁ。全然知らないし、見たことないんで、誰が人気なのかもわかりません!
でも、上の方の男役の人や、女役の人は他よりもオーラあると言うか、光り輝いてるね。
などと見ていたらT子ちゃんがやって来て、
今日はチケットsold outでした。
店内でずっと居る時点で、周りから見られてるので、なんか気まずいから、早く帰りたくなってたので
まあ、しゃ〜ないね。
と、帰りがけに、お腹が空いたのでたこ焼き屋があったので、たこ焼きを食べながら南大阪へ。
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