第3話 バイトNo.1ミスタードーナツ③

ミスタードーナツは2年間の間、最初は土日だけ。その後には空いてる日は平日も働くようになった。


と言うのも一回生の間に取れるだけの単位を取ったので、専攻になると時間が取れるようになったから。


バイトで稼いで、サーフィンのボードを作ろうとしていたのだ。


大学には工芸部もあり、そのクラブもあるから、サーフボードを作っては稼ぐ学生も居た。私は単に金がないから自分で作ることになった。


基本になるものを作り、そこに発泡スチロールで間を埋めて行く、成形して形を整える、上からガラス繊維を貼り、さらに上から樹脂を塗って、乾いたらシェイピングだ。


電動工具が無いから番手の違うペーパーヤスリで整える。何度もその工程を重ねて完成。


これは本業のバイトとは、また違って、自前のサーフボードを作るための練習みたいなもの。人の金で練習出来るから材料代だけ。工賃は無料。もちろん、友人の指導のもと制作はしていく。2年間で4本作って他の友人に格安で売り渡した。


うちの専攻の中に特に仲良くなった友人達とサーフィンに行くようになった。サーフィンじゃ無い時はスケートボードだ。生駒山の上からの下りはスケボーの最高な場所。ヘルメットやニーパッド、エルボーパッドがあれば後は勇気と度胸。


うまく、止まれず道から落ちて皮がズルズルになる事もたまには(ザラに)あった。



当時はポパイが創刊されてすぐで、アメリカ西海岸にかぶれた私達は、気持ちの中ではアメリカン。校舎と校舎が離れてるのでスケボーで滑って移動していた。


軽音でバンドやってる友人からアメリカンロックの洗礼を受け、車に好きな音楽テープをたくさん載せてドライブするのが楽しかった。


私達のグループ内にはカップルばかりで、独り身は私だけ。


でも、それでも毎日が楽しく、このまま10年くらいはこのままいくんじゃ無いかと思っていた。



バレンタインデーの前辺りから、周りで騒々しくなる。まあ、この時までバレンタインデーのチョコレートなんてもらったこと無いしな。気にも留めてなかった。


店で働いてる若い人妻のパートさんからいきなり

彼女いるよね?

と聞かれたので


いないよぉ。


え?◯◯君、女子高生から人気高いんだよ。

誰からも聞いてない?


ええー?!初耳!誰がそれ知ってるの?


多分店長は知ってる。




と言う事で、休憩時に店長にストレートに聞いた。


◯◯君、ほんと知らないのか?あの子もこの子も店のバイトの女の子で8人くらいから相談受けてる。


相談受けてても、教えてくれなかったら分からないですよ。



と言う事で、いきなり、来ました!モテ期が。

(まだモテ期という言葉自体無い時代です。)


他には誰と誰が?


知ってるけど教えない!

確かに俺は結婚してるよ!

でもなんでお前なんだよ!

俺、すげー悔しい! 


いやいや、そんな、店長、奥さんも娘さんもいるでしよ?なんで悔しいのかそれこそ変だよ。

頼みます。大人なんだから教えてよ。


変な感じでスイッチ入っちゃった店長は私を無視してドーナツを作り出す!

ドーナツの生地を捏ねてバン!バン!叩きます。

近くにいると危険を感じます。店長。



しょうがない、じゃあ、あと聞くのはあの人だ。

パートの人妻さん。

聞いたら、J子ちゃんと言う女の子からプレゼントの相談受けていたらしい。


その子の顔と名前が一致しないからどんな子なんだろ?とワクワクドキドキでした。

写真撮れる様な携帯なんてまだ、世の中に存在してない時代です。それどころか携帯そのものが無い時代。


公衆電話でコインを積み上げて、彼女と会話する時に、ガチャ!ガチャ!と落ちていくお金の音。が怖かった時代です。




そしたらすぐに人妻さんは外の公衆電話でその子の家に電話してくれて、今から店に行くから待ってて、と。伝言を聞いた。


いやあ、俺バイトの格好のままだし、、、。

とりあえず、店の前で待ってます。



1時間近く待ってました。



自転車で来ました。J子ちゃん。

カワイイ。

あ、族の襲撃受けた翌朝に出勤して来た子じゃん。


慌てて自転車で走って来たのか顔が真っ赤。


「これ、プレゼント!」

と、何か大きな物が入った紙袋をどーぞ!と渡される。


あ、ありがと。


良いシーンだ。


と、それまで店内で身構えていたバイトの女子高生が次々に


お幸せに!


良かったよJ!


良く頑張った!


貰い泣きしてる子までいる。

(なんだこのシーンは?)


と言う事で、ミスタードーナツでバイト中に彼女できました!


その後、土日の(族対策要員の)相棒にも可愛いい彼女が出来て、ダブルデートする事も増え、大阪博覧会跡地とかで遊んだりしました。


相棒はバイトで稼いだお金で車買ったので、良くいろんな場所に遊びに行きました。南港とか(族のチームが集まってました)、堺の吉牛とか(走りに行くとお腹空くので帰りはいつもそこ。そこにも相棒の知り合いが多かった。)


大学の友人とはサーフィンと課題で徹夜。

相棒とはドーナツと族の集会😰


今で思えば

なんじゃこりゃ?な友人関係でしたね。









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