第2話 バイトNo.1 ミスタードーナツ②
夜中の2時になると来る、近所の猫好きのお姉ちゃん。たまには一匹連れてやってくる。しっぽがハテナのように曲がってるのが「ハテナ」。黒猫なのに、足に白い足袋を履かせたようなのが「ソックス」。
何をしてる人かは分からないが、夜中の2時に来てはエンゼルクリームを2個とコーヒー数杯で帰る。
だいたい猫の話を少ししては1時間ほどで帰る。
夜中の3時になると本当に人は来なくなる。
その時間は暇なので、相棒と交代でラーメンを作って食べ、2回の事務室の隣にロッカールームがあるのでそこで仮眠する。
この日は私が先に仮眠している。
前からライバルの族が襲撃して来ると噂が流れていた。
仮眠室で熟睡してしまい、いきなり相棒に起こされ、屋根に続く窓をそっと開けて、外に出る。
外では大勢の人の叫ぶ声や、金属パイプで何かを殴る音が聞こえる。ガラスが割れてナニかが壊れる音も聞こえる。
店内は照明があるので明るいが、屋根の上は殆ど暗くて見えない。
「おい!ここの店員おらんな!どこいった?!」
2階の事務室への階段の場所が見つかり、ドカドカと、数人が上がって来る。
「ここにはだれもおらんな。逃げたか?」
「金庫も無さそうや。」
「ポリが来そうや。そろそろ行くで!」
ドカドカと足音が去って行く。
その間、相棒と私は音を立てないように、屋根に必死でしがみ付いた。
ようやく、どこかからパトカーのサイレンが聞こえて来て、襲撃者のグループは車で去っていった。
警察官が事務室のある2階に来たのでようやく安心して中に入る私達。
警官「よう、うまいこと隠れてたな。バイト君。」
相棒「店長に連絡してないです!」
警官「店長はこっちに向かってるらしい。設備が壊れてないか確認しといてな」
ただ。隠れるしか出来なかった私達だが、店長はすぐに店にやって来た。
店のガラスは厚いサンドイッチガラスで、中に番線が入ってる割れにくいタイプだった。
レジはひっくり返されてたけど壊れてなくて金だけ盗られていた。
ドーナツもステンレス製の飾り箱ごとふたつ盗まれていた。
あと、ドーナツのトッピングで使うピーナツの30kgの袋が盗まれてた。ピーナッツ好きなやつなんやろな。
大した被害が無さそうですホッとした店長が店外から
「こんなもん描かれたらペンキ代高いやろが!」
と、叫び声があった。
ライバルのチーム名がペンキで描かれていたのだ。
よくある「◯◯参上!」てやつ。
警察無線で、パトカーが走り去って行くと、周りの陰の中からゾロゾロとタイムマシンのメンバーが戻ってきた。
かなり負傷してるのもいる。
車のメンバーに同乗してどこかに去って行く。
普通の病院には行かないのだ。わかると補導されるから。
そこら中に血が飛び散り、バイクも倒されている。
いつもタダのシェイクを飲んでいる奴がいた。
「今回はやられたなぁ。もう族はやめるわ。これからはナンパや。」
「族から卒業祝いや、シェイクちょーだい!」
周りの掃除を済ませた私達は、朝日が昇るのを見ながら
「今日は大変な日やったな。」
と、よく無事で朝日を迎えて喜んだ。
朝一番に来た正社員が、「うわ!襲撃か?」と驚き、私達の無事を喜んでくれた。
「明日(日曜日)も頼むで!」
朝の番のバイトの高校生がやって来て、ドアの横のガラスのヒビを見て
「襲撃やってんで、ビックリやわ。」
この時の女の子がその後付き合うことになったJ子ちゃん。彼女になるのはまだ少し先のお話。
【追加情報】2022/7/3更新
ミスドでは有線が使われていて、通常の有線とミスタードーナツの広告的なのが時々切り替わっていてました。何故か昼間は「不思議なピーチパイ」が多めで、夜はシーナ&ロケットや、大瀧詠一とかも流れてました。
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