第10話 勝てない敵

 一時間後……

 

 その後、様々な攻撃を試みる東山だが、どれも上手く行かなかった。


「うーん……やっぱり私らでは難しいか……」


 困り顔になるエウマと、それを聞いて不安そうになる純。


「無理……なんですかね?」

「どうも学生レベルじゃ太刀打ちできるタイプじゃなさそうね……」


 エウマも困り顔で答える。

 この場に居る人間の技量は日本国内では有数のスーラーと言えるだろう。

 だが、それは単に日本ではスールがまだ始まったばかりだからであって、


「何とかデータだけでも取りだすこと出来ないですか?」

「したいのは山々だけど、こうも壊され続ける状態じゃねぇ……」


 エウマも困り顔で返す。

 一応、データのみを取りだす方法もあることはあるのだが、ここまで壊され続けると、修復しながら取りだしになる。

 常に周りを破壊し続けるドラゴンが居る限り、そんな悠長な対応を許してくれるような状態ではない。

 東山は映像兜マッカを被ったまま尋ねる。


「弱点解析はどうだ?」

「全然ダメ。あたしの技量じゃ無理ね」


 お手上げポーズを取るエウマは困り顔でぼやく。


「第一スーラー部に頼るしか無いかも? そっちには聞いた?」


 エウマの言葉に緑丸は困ったような悲しそうな声で答える。


未開人ビスタは同じビスタに見てもらえ』って……」

「……あいつらはぁ! ほんっっっっとにムカつくわね!」


 苛立たし気に怒鳴るエウマ。


 ビスタとは未開人を意味する彼らの言葉で要は差別用語である。

 実際問題、こういった差別は日常茶飯事なのだ。

 通常ならば、こういった都市には外国人が如何に多いとは言え、現地人の方が多く差別は起こしにくい。

 本来はそうなるのだが、実は色んな事情があって、伊岳市は宇宙人の方が多いのだ。

 必然的に差別は当たり前に起きる。

 エウマはため息を吐いた。


「でも無理よ。この電脳獣ムハングは私たちの手にはとても……」


 ドゴン!


 画面の中で大きな爆発が起きた!





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