第9話 ムハング
画面には大きなドラゴンのような生き物が映し出されている。
ゴワァァァ!!
ドラゴンが火焔を噴き出すと、辺りの町並みが壊されていく!
「あれは何なんですか!」
「あれが
純の疑問に答えるエウマは、慌てて画面をコントロール用の画面に変えて、何やら色んな操作を始めた。
「エウマ先輩は何をしてるんですか?」
「東山の支援! 装備の変更とか必要な対応とか敵の情報分析とか、
そう言って画面に色んなパラメータを表示して、支援の準備を始めるエウマ。
「エウマ。波動砲用意」
「了解」
東山の言葉にエウマは軽快にキーボードを叩く。
すると、東山の侍の
巨大な大砲に侍が手をかざすとふわりと宙に浮いてドラゴンに照準を定める。
「発射!」
ビュォォォォン!
強烈な光を放ちながら一条のビームがドラゴンへと吸い込まれていき……
ドゴォォォォン!
大きな爆発を起こす!
「やりましたね!」
嬉しそうに叫ぶ純だが、エウマは静かに言う。
「静かに。この程度で終わるほど簡単なものじゃないわ」
見れば東山も一切警戒を怠っていない。
エウマは顔を歪ませる。
「東山。一ミリも相手のHPは削れてないわよ」
「やっぱりか」
東山は静かに答える。
みれば、煙の中からドラゴンがこちらへ顔を向けているではないか。
「あの……何で効かないって、わかってる攻撃したんすか?」
「正確には効く攻撃の方が少ないのよ。チートし放題って言ったでしょ? ある種の攻撃に対しては完全防御とか当たり前にあるのよ。だから色んな攻撃を試すしか無いの」
「何か無駄に難しいくそゲーの攻略法探しみたいですね」
「そうよ。ついでに言えば毎回こんなもんよ」
ドラゴンはこちらを向いたかと思うと……
ゴワァァァ!!
ブレスを吐いて攻撃してきた!
呆気なくやられてしまう侍のオリム。
それを見て微妙な顔になる純。
「あの……やられてしまったんですけど……」
困り顔になる純だが、エウマは平然と答える。
「大丈夫よ」
その言葉が言い終わるか否かぐらいの早さで、画面が再び最初の地点に戻る。
「残機無限もチートの一種でしょ?」
「何かこう……ありがたみや面白味が一切無いゲームですね……」
「だからゲームじゃないって言ったでしょ?」
純の言葉に平然と答えるエウマだった。
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