第2話 パワードスーツと巨大ロボット

 武装した警官たちがぞろぞろと部屋に乱入する!


「麻薬取引の容疑で逮捕する! 大人しくしろ!」


 警官たちはそう言って拳銃を構えるのだが……男たちは平然としている。


「おいおい……てめぇが連れて来たのか?」

「馬鹿言っちゃいけねぇよ。てめぇがヘマしただけだろ」


 禿頭の男も髭の男も平然としているが、警察の一人が叫ぶ!


「全員、手を上げて大人しくしろ!」


 警官がそう叫ぶと、禿頭の男はにんまり笑う。


「はいはい。じゃあ上げてやるよ!」


 ブォン!


 そう言って、手を力強く振り上げる禿頭!

 すると……


 ガシャン!


 今度は天井を破って何かが降りてきた!

 全身を有機的な強化服に身を包んだ5名を見て、警官たちの顔が引きつった!


「ば、バディルだと!」

「宇宙人さんは優しくてねぇ……俺みたいな悪党にも強化服バディルを売ってくれる人が沢山居るんだよ」

「撃てぇ!」


 パンパンパンパン!


 警官隊が容赦なく拳銃を発砲する。

 本来なら警官が軽々しく撃ってはならないのだが、撃つべき理由は十分だった。

 何故なら……


 カンカンカンカン……


 

 禿頭の男は得意げに語る。


「宇宙の戦争に使われるパワードスーツ。宇宙人の言葉じゃバディルって言うらしいな。綺麗に銃弾をはじいてくれるねぇ……」

「くそぉ!」


 警官が悔しそうに叫ぶ!

 そこにさらに追い打ちがかかる!


「警部! 大変です!」

「何だ!」

「表にはクルムが居ます!」

「何だと!」


 ゴバァ!


 突然、壁の一つが破壊され、もうもうとした土煙の中から巨大ロボットの顔のような物が見えた。

 それを見て苦笑する禿頭の男。


「宇宙の武器を用意したのは俺だけじゃなかったんだな」

「当たり前だろ」


 髭の男もまた悠々と答える。

 巨大なロボットを見て髭の男と禿頭の男が呟く。


「こんなでっかいロボットに乗って戦うなんて、宇宙人さんの戦争は夢があるねぇ……」

「おいおい。ちゃんと宇宙人さんに合わせて『クルム』って言いなよ」

「へいへい」


 そう言って悠々と逃げる準備を終える二人。

 男たちの半分は強化服バディルの連中に抱えられ、もう半分はクルムによって抱えられる。


「じゃ、またねぇ♪」

「じゃあな」


 そう言って立ち去ろうとする男たち。

 慌てて警官が叫ぶ!


「ま、待て!」

「待たない♪ おい安室。早く出ろ」

『あいあいさあ!』


 髭面の男がクルムの方にそう言うと、クルムのスピーカーから声が聞こえた。

 クルムの中では顔が刺青だらけの男が操縦をしており、目の前の画面に表示されている外の様子を見てにやりと笑う。


「さてと、安室行きまーす♪」


 そう言ってクルムを発進させようとする男だが……


 プツン……


 突然、画面が真っ暗になった。


「何だこれは?」


 不思議そうにする男だが、画面が再び点灯した瞬間、顔が凍り付く。


 


 一言で言えばアメコミヒーローみたいな奴である。

 仮面は虫を思わせるような仮面で、長い触覚が上からぴょこんと生えている。

 ヒーロー衣装のような鎧を着ており、筋肉を思わせるような盛り上がりがそこかしこに見える。

 男が刺青の入った顔をきょとんとさせていると、その仮面の男は口を開いた。


『このクルムはもうスールした。大人しくしろ』

「なんだとぉ!」


 言われた事に気付いて顔を青ざめさせる男だが、次の瞬間にはさらに青くした。


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