第9話
3人はその白い部屋から出て長い廊下を歩いていた。廊下は5人が横になって歩いても余裕があるくらい広かった。
「ムラスケー後で判子押す場所作るからさ後で判子押してー」
「はいはい」
適当に返事をして歩いてると正面横のドアが開いた。ドアは自動ドアのように横に開く。
そこから2人の男が出てきた。1人はメガネをかけた男性。もう1人は右目に黒い眼帯を着けた男。そして2人は身長が大きく体格のいい男性だ。
2人は話ながらその部屋から出ると眼帯の男がこちらに気づく。
「おお!お前が噂の聖剣使いか!」
そう言いながら眼帯の男は近づいてくる。
「お、ゴロちゃん。おつかれー」
コブラは眼帯の男に軽く手を上げて挨拶する。
「おう!お前もかなりボロボロだな!死んだか!?」
「首が切れただけ。そっちは訓練終わりか?」
「おうよ!いつでもお前を殺せるようにな」
「はっはー殺せるものならいつでもどうぞっと。そうだな紹介しないとな」
コブラは中村の方を向く。
「こいつは五郎。第2部隊の隊長さん」
「よろしくな!」
「は、はい。な、中村です。よろしくお願いします!」
深々と頭を下げると五郎はポンポンと中村の頭を叩く。
「中村!こいつと一緒にいると大変だからな!もし困ったことがあったらなんでも言え!」
「は、はい!ありがとうございます!」
再び深々と頭を下げると五郎は
「じゃあ俺は先に行ってるから後でな」
そう言うと五郎は眼鏡の男を連れて廊下を進んでいった。
「じゃあなー」
コブラは五郎に手を振ると中村の方を向く。
「じゃ、行こっか」
「そういえばどこ向かってるの?」
「行けばわかるよ」
3人がしばらく歩いてるとある部屋のドアの前で止まる。
「ここだ」
コブラはドアの横にある装置に手を置く。どうやらそれは手形センサーのようなものでドアが開く。
中に入るとそこは白く少し広い部屋で置かれている家具は少なく、ベッドに机、タンスとクローゼットに本棚。それから壁にはガラスケースがあり、その中には日本の刀が飾ってある。それからドアが2つあった。
「ここは?」
「ここは俺の部屋だ」
「へー」
中に入ると女性が
「では、私は先に向かってますね」
と女性は一礼をして廊下を歩いていった。
「…じゃとりあえず風呂入ろっか」
「風呂?」
「お前自分の格好見てみ?」
自分の格好を改めて見てみると服は避けていてそこから血が着いて赤くなっていた。体には傷はそこまで無いものの服はボロボロの状態だ。
「……あ」
「だから風呂つってもシャワーだけど行ってこい。そこのドアだから」
「ありがと」
「服はボロボロだし捨てちゃうね」
「了解」
中村はシャワーを浴びて脱衣所に戻ると先程脱いだ服は無くなっていた。代わりの服を着ようと籠の中を見ると中には高そうなスーツが置かれていた。
「スーツの着方なんて知らないよ…」
コブラは中村が出てくるまで本を読んで待っていた。するとシャワールームの扉が開く。
「ネクタイの付け方がわかんないよ」
とネクタイを適当に結んだ中村が出てきた。
「はいはい」
そう言ってコブラは立ち上がりネクタイを直す。
「俺、軽くシャワー浴びるから待ってて」
「わかった」
コブラは服を持ってシャワールームの扉に手を掛ける。
「あ、そうそう」
コブラは足を止める。
「その刀には触んなよ」
「わかってるよ高そうだし」
「本でも読んで待ってろよー」
そう言ってコブラはシャワールームへと入っていった。
少ししてコブラはネクタイの付けてないスーツ姿で出てきた。
「おまた」
「うん。ネクタイは?」
「めんどい」
「あーうん」
中村はコブラのめんどくさがりな性格を察してこれ以上も言わなかった。
「じゃ、行きますか」
「行くってどこに?」
「そりゃ会社に入社したら自己紹介だよ」
「え?」
「え?じゃないよほら行くよ」
「やだ」
「やだじゃない。行くよ」
コブラは嫌がる中村の手を掴み引っ張るが中村は抵抗する。
「やだー!!自己紹介なんてムリー!」
「ホラ行くゾイ!」
コブラは中村を強引に引きずって部屋を出る。
コブラは中村を強引に引きずり行き止まりにある扉の前まで連れてきた。
「あー……終わった…」
「大丈夫だって自己紹介なんて適当にすればいいから」
「例えば?」
「んー……俺の名前は中村。小学生の女の子を見つけては犯し見つけては犯すのが得意だ!よろしく!」
「ダメに決まってんだろ!!」
「えー」
「おれはそんなことしないし!年齢=童貞だよ!!」
「いくぞー」
中村が止める間もなくコブラはドアを開く。
中は机と椅子が10個置かれており、右4、左4、奥1、手前1という形でだ。そのうち奥と左は埋まってるが右の真ん中の席と手前の席が空いていた。
「おっじゃまー」
コブラが適当な挨拶をして右の空いてる席に歩いていった。その席の隣に先程コブラと一緒にいた女性がいた。
「遅れたー」
「死んで詫びてください」
なにやら物騒なことをコブラは言われているようだが何故か嬉しそうだった。
「では、全員揃ったことだし会議を始めましょうか」
奥の席に座っている初老の男性が声を出す。それと同時に皆が姿勢を正す。それに驚き中村も思わず背すじを伸ばす。
「まずは聖剣の持ち主に自己紹介をしてもらいましょうか」
「え、えあはい!中村です!よろしくお願いします!」
深々とお辞儀をする。すると色々と話し声が聞こえた。
「あいつが聖剣を?」
「弱そうだな」
それは事実であるが中村には傷つく言葉だった。
「はいはい。こんなクソについていちいち考えなくていいから!とっとと会議終わらして俺をデートに連れてけ!」
コブラが声を上げると皆静かになった。
「まあ、そこの席に付きたまえ」
奥の席に座る男性が中村を座るように促す。中村は席に着く。
「ではこちらの自己紹介を始めましょうか。私はこの会社のリーダーの
次に中村の左手前に座るメガネをかけたサラリーマン風の男性が立ち上がる。
「バリアント討伐部隊一番隊隊長
室町が座ると次に左隣の男性、先程出会った胴着を着たゴツい体の男性が立つ。
「さっきも言ったが改めて、五郎だ。2番隊の隊長をやってる。よろしく」
続いてその隣の金髪のモヒカンの悪そうな男性が立つ。
「3番隊の隊長熊田だ!夜露死苦!」
左側の列の最後、右目に黒い眼帯を着けた中年の男性が立ち上がる。
「4番隊の隊長、
続いて右側の奥の赤い長髪の男声が立ち上がる。
「5番隊の副隊長、ジャック。隊長は面倒だからお休みしてます」
次に白髪の男性、コブラが立ち上がる。
「コブラでーす。6番隊の副隊長やってまーす。今更だけどよろ」
続いて先程コブラと一緒にいた青髪のメガネをかけた女性が立ち上がる。
「6番隊の隊長、レイラです。よろしくお願いします」
そして最後に紫色の髪で目を隠した女性が立ち上がる。
「あ、アリス…です。よ、よろしく…」
一通り自己紹介を終えると剛田が口を開く。
「では、中村」
「は、はい!」
「君にはレイラ率いる6番隊に入ってもらいたいのだがいいかね?」
「は、はい」
「中村の入る部隊が決まったところで何か意見のあるものはいるかな?」
剛田が辺りを見回すと「はい」と熊田が手を上げる。
「何かな熊田」
「うす」
熊田は立ち上がると中村に近づいてくる。
「こいつはこんな見た目だけど本当に聖剣と契約したんすか?コブラが適当に言ってるだけじゃないんすか?」
「おいおい熊、俺が嘘ついてると言いてえのか?」
「あ?そうだろ?普通に考えてC級個体を1人で、しかも素人が勝てたとは到底思えないんすよ」
「正確には致命傷だ。トドメは俺が指した」
「そこはいいんだよ。問題は」
熊田は中村の前で止まり中村の胸元を掴み無理矢理立ち上がらせる。中村が少し咳き込むと熊田は手を離す。
「もし、本当に聖剣と契約してるんなら今ここで証明してみろ」
「しょ、証明って…?」
「簡単だ。俺と戦って勝て。それだけだ」
平穏な暮らしに戻りたい ヘビブラ @deodorant
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