第6話
コウモリの化け物は1歩1歩2人に歩いてくる。
「コ、コブラ!どうするの!?」
中村は慌ててコブラに聞くがそこにコブラの姿はなかった。後ろを振り返るとコブラは全速力で走っていた。
「じゃ、後は任せた!」
「ま、待って!」
「契約して戦え!俺はケガしたから無理!」
コウモリの化け物は両腕の翼を広げ飛び出した。中村は慌てて剣を構えるがコウモリの化け物は中村を素通りした。そしてコブラ目掛けて突撃した。
「えちょ!」
コブラは横に転がり右腕を掠めて何とか避けた。
「いって!これ以上ケガさせんな!」
コウモリの化け物は旋回して再びコブラ目掛けて突撃する。
「ちょっ!何で俺!?」
コブラは2度目の突撃をもはや人外と思えるほど高くジャンプして何とか避ける。
「俺じゃない!契約してんのあっち!」
「おれを売るな!」
コブラは中村を売るもコウモリの化け物は旋回して3度目の突撃を行う。
「だ~か~ら~」
コブラは着地と同時に拳を大きく振るう。
「俺じゃねえって言ってんだろ!!」
その拳はコウモリの化け物の顔を捉える。コウモリの化け物はコブラのパンチで地面に叩きつけられる。
「っと」
コブラは落ちたコウモリの化け物の背中にジャンプで乗る。
「オラ!死ね!」
コウモリの化け物を何度も何度もジャンプして潰そうとしていた。何度目かでコウモリの化け物は転がりコブラから逃れる。
「おいムラスケ!」
突然コブラが中村を呼ぶ。
「な、なに?」
「とっとと契約しろ!俺の攻撃は全く効いてねえ。本気でお前の攻撃じゃなきゃ倒せねえ!」
「で、でも、おれそんなやつと戦うなんて…」
「契約したら何とかなる!とりあえず契約しろ!」
コブラは急かすようにそう言ってコウモリの化け物に蹴りを入れる。
「3分稼ぐ!その間に契約しろ!おい!くそコウモリ!俺が相手だ!」
コブラはコウモリの化け物に殴りかかる。
中村は再び剣と契約を行う。
「聖剣さん!どうにか契約してください!お願いします!」
中村は聖剣に頼み込むが聖剣はピクリとも反応しない。
「お願いします!コブラがヤバいんです!」
中村は聖剣に頭を下げてお願いするがダメだった。
「ぐふぅ!」
その時後ろから声がした。振り返ると血塗れのコブラが転がりながら木に叩きつけられていた。
「っつう…」
「コブラ!?3分立ってないよ?」
「そこかよ……」
コブラは薄ら笑いを浮かべる。その正面からコウモリの化け物が翼を広げ突撃していた。
「コブラ!」
「んああ?」
コブラは立ち上がろうとするが体がボロボロすぎて立ち上がることもできない。
(どうしよう…助けなきゃ!)
中村はそう考えるも足が震えて動けなかった。自分の足を叩き震えを止めようとするも震えは止まらない。
そんなことをしてる間にコウモリの化け物はコブラに衝突する。
「コブラ!」
「ほう……貴様…」
コウモリの化け物はコブラのほんの少し手前で止まっていた。
「え?」
その理由は簡単だった。それは両腕でコウモリの化け物をコブラが止めていたからだ。言葉にするととても普通なことだが、高速で動く人間を受け止めるなどとても危険なことだ。ましてや相手は化け物。コブラの
「ってえな!」
コブラはコウモリの化け物の顎に膝蹴りをして少し離れる。
「っはあ!腕折れてんじゃねえか!」
「どうせ死ぬのだ。折れても構わんだろ」
(今更だけどこいつしゃべれたんだ…)
「ムラスケ、契約は!?」
「あ、ま、まだ!」
「ハリー!」
コウモリの化け物はコブラが話してる隙に飛んで突撃する。コブラは気付きギリギリで横に回避するも脇腹を深く切ってしまう。
「い゛だ」
コウモリの化け物は旋回してコブラに突撃する。
「……あ」
コブラはコウモリの化け物の姿を最後に見て首を翼で切り落とされてしまう。
「コブラ!!」
コブラの頭が地面に落ちるとともにコブラの体が倒れる。
「うそ…でしょ?」
コウモリの化け物は着地し歩いて中村に近づく。
「戦える者はいなくなった。戦えない貴様を聖剣もろとも破壊する」
中村は恐怖で体が動けなかった。ヤバイということは頭でわかっている。それでも死んだコブラを見て体が動けなかったのだ。
コウモリの化け物は中村の前で止まる。右の翼を上に上げる。そしてその翼を中村に振るう。中村はそれを避けれず体を切られてしまい、そこから激しく血が出る。悲鳴を上げることもできず中村は前に倒れる。
「……ふむ、やはり飛ばなきゃそこまで威力はでないか」
そんな声を聞いて中村は顔を上げる。
「……はあ……はあ……」
体は動かず息をすることしか…いや、息をすることですら厳しい状況だ。そんな彼に何もできないのは当然だろう。
コウモリの化け物は中村とは反対の方向に走りある程度助走を取ったら空を飛ぶ。
そんな行為を見ることしかできない中村はひたすら息をする。
(これ死ぬわ。聖剣とは契約できなくてコブラが死んで、今度はおれか。……ああ、せめて普通に死にたかったなぁ)
コウモリの化け物は空中で何度目かの旋回を終え中村に突撃する。
(あ、だめだ)
コウモリの化け物は中村を翼で切り裂く。
その瞬間、中村は体を起こし聖剣で翼を防ぐ。
「な!?」
「え?」
それはコウモリの化け物にとっても中村にとっても予想外のできごとだった。その予想外のできごとにコウモリの化け物はすぐに離れる。
『きこ……か?』
「え?」
『聞こえるか?』
「う、うん、この声ってまさか」
『そうだ、聖剣だ。今お前の体を少し借りて攻撃を防いだ』
「な、なるほど」
『話は後だ契約してくれ』
「どうやって!?」
『我の名前を叫べ我の名はアウグ!』
中村は痛む体で両手を上に上げて聖剣を掲げる。
「アウグー!!!」
その瞬間、聖剣は輝き出す。錆びた聖剣の錆が光とともに消えていきその中から新たな聖剣が姿を現す。
黄色のラインの赤い剣身。緑色の宝石のような物を付けた金色の
「これが……聖剣…」
『さあ、反撃といこうじゃないか』
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