第4話
4話
そこで目を覚ました。
「うわあ!」
情けない悲鳴とともに起き上がるとそこは自分の部屋。どうやら課題をやってそのまま机で寝てたようだ。
「夢か」
体を起こしペンを手に取る。
(なんの夢見てたんだっけ…たしか)
そう考えたその瞬間扉が勢いよく開く。
「力が欲しいか!!」
「何事!?」
慌てて振り返るとそこにはコブラの姿があった。
「なんだお前か…何でいるの?」
「んー?暇だから」
「そんな理由で来んなよ」
何故かYシャツと黒ズボンという服で来たコブラはベッドに座り近くにあった漫画を読み始める。
「いや帰れよ」
「ちょっと用事あってさ」
「用事?」
中村は首を横に倒す。
「スマホで言えよ」
「これだから現代っ子は」
コブラは咳払いをすると本題を話し出す。
「ま、率直に聞くがお前って最近変な夢見たやろ」
「ん~…」
心当たりあるものがひとつあった。それは謎の剣で化け物を倒す夢だ。
「見たね」
「その夢なんだがあれは夢じゃないんだわ」
「え?」
コブラの言葉に思わず動揺してしまう。コブラは鞄を指差し
「その鞄開けてみそ」
中村は立ち上がり床に置いてあった鞄を開ける。鞄を逆さにして中身を出すとそこには錆びた剣があった。
「……」
これには言葉がでなかった。そりゃあそうだろう。夢だと思ったものが現実だったと言われたら。
「ま、そういうわけだ。少し長い話になるけどいいか?いいなわかった」
「まだなんも…」
「よし、じゃ話してくぞ」
コブラは中村を無視して話を始める。
「面倒だからはしょるがその錆びたゴミは伝説の聖剣の1つ…。簡単に言えばいくつかある勇者の剣の1つだ」
「勇者の剣?」
「そ、お前はそれに選ばれちゃったわーけ」
「何で選ばれたってわかんの?」
当然の質問だ。別に前勇者や偉い人からもらったわけでもない。ただ、たまたま鞄に入ってただけだ。それを選ばれたと呼べるのだろうか?
「おいおい主人公撃たれたじゃねーか…。これ大丈夫か?」
コブラは本を読んで聞いてないようだ。
「聞いて!」
「ん?ああ。お前この前雑魚倒したろ?」
「雑魚って…」
あんなに苦戦した相手を雑魚呼ばわりされ中村は思わず苦笑いしてしまう。
「あのゴミカスは色々あって銃撃、剣撃、打撃、爆撃等の攻撃はほとんどノーダメなんだよ」
「えー…」
「その剣他の人が使ってもただの斬れない錆びた鈍器なんだよ」
「だから斬れた俺が選ばれたと?」
「そいうこと。あ、これの続きある?」
コブラは漫画の続きを手にベッドに寝転がる。
「で、その剣はまだ完全体じゃないんだよ」
「そうなの?」
「いや錆びた剣が本体って嫌やろ」
「それは確かに」
「で、それをちゃんとした剣にするにはその剣と契約する必要があるって訳。おわかり?」
「おけ。質問いい?」
「ええぞい」
「あの化け物、なに?」
「あれはー…秘密だ」
「あの世界はなに?」
「それも秘密だ」
「そういやお前も刀で倒してたけどお前も聖剣持ってるの?」
「ヒミツデェス」
「…喧嘩売ってる?」
「いやいや黙秘権黙秘権!こっちだって言っていいことと悪いことあるからさ!ね。わかって。ね。今度ご飯奢らせてあげるからさ」
コブラは慌てた様子で答える。
「まぁ…ってか俺が奢るのかよ!?」
「まあ疑問もわかるけどさ。他の質問ならええぞ」
「じゃあ契約しないって方法は?」
「それはー…うん答えて大丈夫だな」
「で、それはありなの?」
「ありだね」
「なら契約しない」
「ええ!!なんでー!?」
コブラは思わず立ち上がってしまう。
「なんでって戦いたくないし。ってか、ファンタジーの世界は2次元だけで十分だよ」
コブラは「わかった」といいベッドから降りる。
「じゃその剣はこっちで預かるからさバイクまで持ってってくれない?」
「やだよめんどい」
中村が当然の反応をするとコブラは剣に手を伸ばす。するとコブラの触れた手の平から白い煙が出始めたのだ。
「ちょっ!大丈夫!?」
コブラは剣から手を離し
「って感じで俺が触れるとヤバイんだわ。下までよろ!」
「はいはいわかったよ」
中村は剣を持って立ち上がりドアへ向かう。
ドアを開けるとそこは廊下ではなく見覚えのある森の中だった。一瞬反応が遅れたがそこがどこかとすぐにわかり振り返るがそこにドアはなく代わりにコブラが寝転がって漫画を読んでいた。
「な、なんでまた……」
中村は思わず膝から崩れ落ちてしまう。
「おいムラスケ。これの続きは?」
コブラはこんな状況なのにマイペースで漫画の続きを催促してくる。そんなコブラに腹が立ち
「ないよ!今そんな状況じゃないでしょ!!」
思わず当たってしまう。コブラは立ち上がり中村に近づくと頭を漫画でポンポンと叩く。
「すまんすまん。緊張ほぐそうと思ったんじゃが逆効果か。ま、のんびりしてんのも今の内だぞ」
「どういうこと?」
コブラに質問すると後ろの方で足音がした。振り返るとそこには化け物がいた。
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