第16話 猫ネコたまにトリと犬

 企業内高校の寮のスペースは広いです。

 兵舎のような木造平屋建てですから、無駄に場所を使います。

 東京ドーム何個分と言う表現は無理ですが(知らん!)、工場が4棟と、事務棟が1棟、教務の付設する学校が1棟、寮が8棟、あとグランドと…

 それぞれの間に樹木が植えられています。松が多かったです。

 辞めて、数年後に花粉症を発症しておりますが、もしやと疑っています。

 ああ、あと浴場もあったっけ。

 これだけの建物が地面にへばりつくような平屋建てであると言う…

 樹木がうっそうとしているので、塀に囲まれた森のようにすら見えます。

 こういう環境って、結構飼えなくなった動物を捨てていく人がいるんですよ、悲しい話。

 猫なんか、塀越しにポイッと投げ込んでいく。

 寮生が寄ってたかって面倒を見るので、人慣れした猫が大量発生します。

 私、笑顔の猫を初めて見たよ。

 寮の見回り中に、遠くにいた野良猫が嬉しくて嬉しくて、犬なら嬉ションするくらいの勢いで駆けてきた。

 あ、勿論寮内ペット禁止です。

 そんなんじゃ、猫があふれちゃうじゃんかと心配してくれた方、ありがとうございます。

 そこそこ動物好きなんでこれも悲しい事実ですが…

 勤労(普通の言葉なら『総務』です)の男性社員が、美化や衛生のため捕まえては近くの川に放していました。

 全員が…

 捨てる人も、情が移って飼えないのに世話する人も、さらにそれを捨てる人も、そして見て見ぬふりをする私達も無責任ですので、事の功罪は問えません。

 ただ、事実です。

 犬も時々迷い込んでは(おそらく捨て犬です)、勤労と大捕り物をしていました。

 1度、寮生が鳥も拾いました。

 アリにたかられるくらい弱って、でも生きていた雀の子。

 「どうしよう?」と持ってこられて、多分これは親が育てなかった…弱すぎる個体と分かっていました。

 それでも保護という名目で動物園に頼みました。

 人間側の気持ちを優先させました。

 ごめん。

 

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