第7話 授業の話

 企業内高校ですから、そこの教師である私は授業もします。

 一応元・塾の講師です。社会なら出来ます。そういう大学も出ています。教育課程を挫折していますけど。

 ただ、私塾であっても担当教科は専門分野に分かれるものです。そうでないと、一定以上のサービスが提供出来ません。

 しかし、ここ企業内高校では?

 出来る人がするスタンスです。私は社会系全教科と英語を担当していました。

 ちなみに発音はメタメタです。喋れないって、そんなの。

 評判悪いころの学校英語しか習っていないし、大体私が学生の時の英語教師なんか定年間際の『戦後のどさくさ組』で、たことイカを、

 「(さあ精いっぱいの英語発音で)イカ アンド ターコ」と言ったくらいだぞ。

 その上閉校間際なんか教師の人数が2人だけで、この家庭的でない私が家庭科まで教えていた。

 嫌だったのか、内容は全く覚えていない。

 ただ、この企業内高校の授業っていうのは、下手な塾より難しい。

 授業のレベルの問題じゃなく、生徒のレベルがバラバラな件。

 第3話で書きましたがいろいろな事情の生徒がいたため、専門か短大なら進学可能な生徒と、普通の授業に触れていないような生徒が混在していたのです。

 まあ、超簡単なところで、『私はペンを持っている』の英作文なら?

 もろに中1の内容です。

 当たり前に書けちゃう人と、

 「ねえ?持つって?」

 「haveだよ。」

 「どう書くの?」

 「エイチ、エー、ブイ、イー。」

 「ねえ、ブイって?」みたいな。

 これ、全員のための授業は難し過ぎる。

 結局少しはましな問題と簡単な問題を混ぜていた気がするが、効果のほどは覚えていない。

 少しは役に立っていることを祈る。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る