次回予告
The TECTORIUM of the FERMION
Ⅱ-3〈Aeon〉
次回予告
「ここが私が生まれ……育った所です」
「燐」
「はい」
「もう一度……話してくれるか?」
「……。分かりました」
「か、和彦さんとホテル……」
「なんでそんないかがわしいことするみたいな言い方するかな……」
「本当なら……和彦さんを説得しないといけないのでしょうけれど……。きっと、和彦さんは変わらないものね」
「内閣府多次元時空保全委員会、第四項対策室。五条錫ね」
「……そう、だけれど」
「あの――」
「――私、思うんです。和彦さんを幸せにできたら、きっと未来もよくなるんだって……世界も崩壊しないんだって。だから……」
「……」
「和彦さんから離れなさい!」
「チッ。もう気づかれたのか」
「殺させはしないわ」
「……教授は私が止めます。和彦さんは早くそちらへ。そちらなら……安全です」
「いやでも――」
「――和彦さんが望むものも、そこにあるはずです。それがたとえ……叶えられないものだとしても」
「燐、もしかして……知ってるのか?」
「ここ……遺伝子研究所、です……」
「なんだって?」
「来たまえ。案内しよう」
「……」
「……」
「ありがとう。燐が……いてくれてよかった」
「覚えてろよ。これが終わったら一発ぶん殴ってやる」
「はは、やってみたまえ。時が経てば私がこう言った意味さえも理解するさ」
「生も死も、どちらも不幸だとは思わないか? ……この世には、幸福など存在しない」
「なに……やってんだよ」
「ん?」
「何やってんだよ、お前は!」
「どうした。やらないのか?」
「……くそっ」
「なら、代わりに私がやってやろ――」
「――止めろっ!」
「むしろ、感謝すべきだろう」
「は?」
「銀を殺せなかった私自身の臆病さと、君の身勝手さにな」
「あなたにはあなたの意志があり、考えがある。それは尊重したい、けれど……」
「けれど……?」
「山崎さんの気持ちも、考えた方がいい」
次回、
フェルミオンの天蓋Ⅱ-3〈Aeon〉
乞うご期待!
フェルミオンの天蓋 Ⅱ-2〈Angel Paradox〉 周雷文吾 @around-thunder
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