帰還勇者
「《フォルムチェンジ》モードF!」
僕は窓から飛び降りると同時にスキルを唱え女の子の姿になる。ケルベロスってことは少なくともフレアの手先ではないってことだ。安心できるわけじゃないけど、偶然にしてはできすぎな気がする。でも、そんなことを考えるのは後回しだ!まずは目の前のことに集中しなくちゃ!
「ライトニングボルト!」
ライトニングボルトは高火力という程でもないが無視はできない程度の威力である。くらったケロベロスはガウガウと吠え、僕に噛みつこうとしてくるけど、こっちは宙に浮いてるんだ。いくらケロベロスが大きくてもちゃんと距離を保っておけば直接攻撃されることはないはずだ!
「トルネード!」
ケロベロスの体を竜巻によって遥か上空へと吹き飛ばす。トルネードで魔物を巻き上げるなんてダンジョンの中だと絶対にできない業だけど、外なら容赦なくできる!高所落下で殺せればそれほど楽なことはない!千メートル位ケロベロスが宙に浮いたのを確認した後、トルネードを解除してケロベロスを地面に落とす。凄まじい衝撃と音と共に砂埃が巻き起こる。
「どうだ!」
なんかやってないフラグが立った気がしたけどそんなことは気にしない。
「ガウガウ!」
「くそっ!」
高所落下じゃ無理だったか!ということは僕の重力魔法で押し潰すという手もさして効果をなさないだろう。それなら……
「インフェルノ!」
閉じられた空間の中だと味方も焼け死にかねないのでご法度だけど、屋外なら問題ないよね!僕の放ったインフェルノはケロベロスの毛に引火し焦げ臭い匂いが辺りに広がる。それでもケロベロスは意に返さず僕に噛みつこうとしてくる。
「ヘルオブライトニング!」
耳をつんざくような轟音とともに一瞬視界が白一色に染まる。そのあまりの威力にケロベロスの体は後方に吹き飛び、校庭に大きなクレーターが出来上がる。どれだけ防御力が高かろうと関係なしにダメージは入る。それでもやっぱりケロベロスを一発を倒すのは無理だった。雷撃のダメージから立ち上がったケロベロスの口から炎が漏れる。
「ウォータープレッシャー!」
ケロベロスの口から放たれたのはハイインフェルノ。僕のウォータープレッシャーは多少は抑え込んでいるものの拮抗しているわけではない。だんだんと押されこのままだと押し負けるだろう。属性的にはこっちの方が有利なはずなのになんて威力なんだ!?
「くっ……」
こうなったら並列でもう一つ魔法を使うしかない!今まで三つの魔法を並列発でおうできたことなんてないけどやるしかない!ああもう!一か八かだ!
「うおおおお!ウォータープレッシャーっ!」
炎と水がせめぎあい何とか対消滅させることに成功した。でも、やっぱり三つの同時発動は無理だった。僕は飛行魔法が解除され地面に足をつけている。
「あ……」
気が付いた時には僕の目の前にケロベロスが迫っていた。ケロベロスが前足を振り上げその鋭いツメが僕に届く、その直前僕は巨富のあまり目をつぶった。
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