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二四年十月の3つのお題140

 診断メーカー「小説で使いやすいかもしれないフリーお題メーカー」より、二〇二四年十月にTwitter上で掲載した140字の文章です。

 お題は「巫女にもみえぬ未来/あの日の背中は遠い/君への海路」。



●巫女にも見えぬ未来

 昔から大事なことは神様が教えてくれた。村に起こることをそっと囁きかけて、私がそれを皆に伝える。だから、私たちはずっと穏やかに暮らしていたというのに。

 こんな人、私は知らない。

 激流のように私たちの常識を押し流し、村の平穏を壊していく。私たちの――私の心をかき乱す。

 貴方はいったい誰。



●あの日の背中は遠い

 頻繁に見る夢がある。夜の森を走る夢だ。ぼろぼろの服と靴で、全速力で見知らぬ背中を追いかける。時折振り返るのだが、その顔はいつも見えない。

 何処かに辿り着く前に夢は終わる。狭い天井に安堵し、その誰かが分からぬもどかしさに苛まれる。全く記憶にない。けれど、あれはきっと、遠い日の出来事。



●君への海路

 潮騒に耳を澄ませる。愛しき女の歌声を拾えないかと。しかし、水平線の果てにいるアウレリオに聴こえるはずもなく、波は静かに帆船を揺らすばかり。

 夜空の星が針路を告げる。舳先は正しい海路を指している。

 いざ向かうは海賊の拠点。そこに待つ女の温もりを思い出し、アウレリオはパイプをふかせた。

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遅筆作家の即興小説練習帖 森陰五十鈴 @morisuzu

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