二四年九月の3つのお題140

 診断メーカー「小説で使いやすいかもしれないフリーお題メーカー」より、二〇二四年九月にTwitter上で掲載した140字の文章です。

 お題は「猛禽の眸/望月の別人格/嗚呼、終わりの鐘が鳴る」。



●猛禽の眸

 鷹か鷲のようだ、と思ったのは、黄色の虹彩の所為もあるかもしれない。だが一番は、人ごみに紛れた私を捉えたことだろう。

「踊っていただけますか」

 周りのご令嬢に「子鼠」と呼ばれる私を引きずり出すさまは、それこそ猛禽。あれよあれよと捕食され。共に暮らす今も、その眼差しに捉われ続けている。



●望月の別人格

 満月を背負った彼の眼差しは、今までと全く違う色だった。恐る恐る名前を呼ぶと、睨まれて。

「どうしたの? いつもの君らしくない」

「知った風な口を。お前が俺の何を知っている」

 胸に痛みと悲しみが走る。私が見てきたのは一側面でしかなかったのだ。こんな君は知らない。

 もっと君を知りたい。



●嗚呼、終わりの鐘が鳴る

 家の近くに教会の晩鐘で、私たちは一日の終わりを知る。

 楽しい日も悲しい日も、重々しい鐘の音が締めくくる。

 誕生日、入学式、卒業式。

 祖父母が死んだ日、 愛犬が死んだ日も。

 そして今日、また一つ。私の前に別れが訪れる。

 青春彩り恋した日々を、黄昏が塗りつぶし。

 嗚呼、終わりの鐘が鳴る。

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