奇妙な募集

「……なんだこれ」

 公募のまとめサイトをスクロールしていた人差し指が止まる。目が留まったのは奇妙な一文。

『イタリア式の小説新人賞』

 まず、何処で区切るかが分からない。〝イタリア式の小説〟の新人賞なのか。それともイタリア式の〝小説新人賞〟なのか。

 前者は、イタリア小説と何が違うのか分からない。そもそも、海外文学に疎い私にはイタリア文学にも馴染みがない。ダンテか。『神曲』か。宗教を題材にしたものをイタリア文学と定義して良いわけないだろう。

 後者はもっと意味不明だ。小説の公募にイタリア式も何もあるものか。アメリカ式もフランス式も、日本式だって聞いたことなどない。何を持って区別するのか。もし区分するというのなら、グローバル的なものではなく、ネットとか郵送とか、そういう発送形式ではないだろうか。

 パソコン画面を前に、むむむ、と考え込む。頭をいくら捻っても、答えなど思いつかない。

 詳細を覗いてみればいいと思いついたのは、二分ほど悩んだ後だった。リンクをクリック、ページを開く。そこに書かれていたのは、『イタリアの小説新人賞』。

「誤字チェックちゃんとしろや!」

 思わずマウスを机に叩きつけた。

 真面目に考えた自分が馬鹿みたいだ。




―・―・―・―・―・―

即興小説トレーニング

お題:イタリア式の小説新人賞

制限時間:15分

挑戦時完成度:未完

※投稿に際し、『そこに書かれていたのは、』以降を加筆。微修正。

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