第2話

 ジークとエミリーは、神の塔を見上げる。

 硬く扉は閉ざされている。

「ジークまた来てるのか。来ても入れられないぞ。今日はエミリーも来ているのか」 

「うん」

「分かってるさ。待ってるのさ」

 エミリーは頷き、ジークは答えるのだった。

「お前さんも健気だね。毎日毎日、10年前に神の塔に登った親父さんを待ってるなんて」

「健気じゃないさ。時が来るのを待ってるのさ」

 ガタン。

 何の前触れもなく、神の塔の扉が開いた。

 ジークは開いた扉に向かって走った。

「お兄ちゃん!」

 エミリーが叫ぶ。

「ジーク待て!」

 衛兵が手を伸ばすが、掴んだのは、ジークがしていたネックレスのみだった。

 ジークは扉の中へと吸い込まれ、扉はひとりでに閉まった。

 衛兵の手には、千切れたネックレスのみが残った。

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