49 ヴィラン対決
元がヘリコプターを素手で投げ飛ばせるような強靭な肉体をしている
ダークハンターは俺の方を見ると、ヘルメット部分の操作デバイスに手をやった。すると、通信魔導具がジャックされたようで、通信魔導具ごしに声が聞こえてきた。
「君たちの負けというなら、あの獲物は私が頂くぞ」
それは機械音声のようだった。ダークハンター本来の声では無いのだろう。翻訳された音声か何かなのだろうか。
「構わない……。好きにしてくれ……」
俺がそう呟くと、ダークハンターは笑い声を上げ、大いなる闇に向けて大ジャンプをした。バトルスーツの足の裏や背中が発光しており、どうやらジャンプの補助をしているらしい。
大いなる闇は気づいたようで、ダークハンターを迎撃しようと青く発光する拳を振るった。しかし、ダークハンターはそれを左手で受け止め、右手を振るった。大いなる闇が飛び
◇◇(視点変更)
ロベルトは投げ飛ばされた時に背中を痛めたが、何とか立ち上がり、カレンの元に向かった。カレンもどこかを強打したようで立ち上がれていない。ロベルトがカレンに肩を貸し、魔力切れで倒れているアマンダとメルビンの元に向かった。
「ど、どうなってんの、あれ……!?」
「あれって、ヤマトの世界で観た……」
アマンダとロベルトが言った。全員の目がダークハンターに向いている。ダークハンターは右手のレーザーブレード、肩から飛び出ている銃口からのビーム兵器、パワー任せの蹴りなどで大いなる闇を攻撃している。
ロベルトにはその光景にも覚えがあった。
「そういうこと……。三つじゃなかったのね、絡み合った世界は……」
カレンが呟いた。
「僕たちの世界、ヤマトたちの世界、アマンダたちの世界、そして、あいつの世界、って事か」
メルビンが言った。メルビンは映画を観たわけでは無かったが、事情を察したようだった。
大いなる闇は防戦一方になっているのを危惧したのか、援護している二つの物体からも攻撃を加えようとした。しかし、ダークハンターのバトルスーツの右脚部分から拳銃がせり出し、ダークハンターが右手でそれを撃つと、三点バーストのビームが発射され、それは物体の片方を捕らえた。
焦った様子の大いなる闇はダークハンターに飛びかかったが、ダークハンターは左手からもレーザーブレードを出現させてそれをさばいた。さらに冷静に二つの物体の片方を射撃し、何発かが命中したところで爆散して闇の瘴気に変わった。
大いなる闇は怒った様子で咆哮を上げ、ダークハンターに攻撃を仕掛ける。ダークハンターも被弾しているが、意に介さず反撃する。そして、ダークハンターの蹴りで大いなる闇が後退したところに、ダークハンターの肩のビーム兵器からのチャージショットで、大いなる闇は爆散した。
最後に残っていた物体から、先ほど倒されたもう一個の物体と、大いなる闇本体が再び出現した。
◇◇(山和視点)
俺は、ダークハンターが被弾に構わず大いなる闇を攻撃する様を見ていた。あの宇宙人も場合によっては敵となり得る存在だが、もう託すしか無かった。コアらしき物体が大いなる闇を復活させるのも見えたが、今度は大いなる闇が二つの物体を吸収した。大いなる闇の身体が少し大きくなり、紫色に変色する。最終形態ということだろうか。
「や、山和くん……。あれ、いつ、気づいたの?」
「何で俺が転移者だったんだと思った時に……さ。もし、本当に『呼び出されたモノ』の世界とも繋がっているんなら、あのセリフを言えばダークハンターが出てくるんじゃないかと思ったんだ……」
俺はそう返答した。
「皆、気を抜くな! 魔物もたくさんいるのだぞ!」
エリザベートが怒鳴った。俺はハッとして辺りを見回した。他の生徒たちも、突如現れたダークハンターに見入ってしまっていたようだが、俺たちは依然として魔物に囲まれている。対処しなければならないのだ。
俺は全てをダークハンターに委ね、マシンガンを魔物たちに向けた。
◇◇(視点変更)
ダークハンターは久々に出くわした強敵との戦いを楽しんでいた。この種族は言わば戦闘狂なのだ。己の肉体を鍛え、科学の力を使った武器を駆使し、宇宙で敵を探し求める。大いなる闇はうってつけの敵だった。もし異世界人たちが勝利したならそれまでと思って戦況を眺めていたが、地球人が負けを宣言したところで介入を決めた。
大いなる闇は紫色になった状態が最終形態のようで、空を飛ぶことができた。ヒットアンドアウェイでダークハンターを攻撃するつもりだったようだが、ダークハンターもまた、バトルスーツを使って飛ぶことができる。足の裏や背中から輝く粒子が放出され、ダークハンターの身体が宙に浮いて大いなる闇の攻撃を
そのまま戦いは空中線となる。大いなる闇は魔法で、ダークハンターはビーム兵器、レーザーブレード、投擲形式の爆弾などで攻撃をくり出した。
大いなる闇は咆哮と共にダークハンターを攻撃する。ダークハンターのバトルスーツを破って肉体に攻撃が被弾することもあったが、ダークハンターは相変わらず構わずに攻撃を続行した。その痛みすらも、ダークハンターにとっては娯楽なのだ。
大いなる闇は最後の手段とばかりに大きく息を吸い、手に魔力を集中した。恐らく最後の賭けのような攻撃なのだろう。ダークハンターはそれを邪魔せず、撃ってくるのを待った。やがて大いなる闇の手から極太の青い光線が発射される。ダークハンターは右手と左手のレーザーブレードを交差させ、それを受け止めた。押し込まれるのを腕力で止める。
そして、別の方向に青い光線を投げ飛ばした。
ダークハンターは大いなる闇を見た。万策尽きたという様子で動かない。ダークハンターにとっても、魔法という存在は興味の対象ではあった。しかし、決着は決着。迷わずに大いなる闇の方に飛び、レーザーブレードで切り捨てた。
大いなる闇は敗北を受け入れたように静かになり、そして爆散して闇の瘴気に変わった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます