45 ファイナルバトル
「ようやく会えたわね、大いなる闇……」
アマンダはゼーデルガイナー越しに大いなる闇と対峙する。歴史上の怪物であり、
「世界を滅ぼすためだけに創られた悲しい存在。今、闇に返してあげるわ!」
大いなる闇は腕を振り上げ、打ち下ろしてきた。アマンダの操縦でゼーデルガイナーはそれを避け、左手から赤い光を放って大いなる闇を攻撃する。また、大剣での直接攻撃も行った。
ゼーデルガイナーが対処し切れない攻撃を、レスリー機が援護攻撃したりもした。魔導ロボットの性能では大いなる闇への攻撃は全くの不足で、レスリーは援護に徹するしかなかった。
◇◇(山和視点)
遠い位置ではあるが、ゼーデルガイナーと大いなる闇の戦いが始まった。もう、アマンダに託すしかない。正真正銘、世界を救うための最後の戦いだ。
しかし、均衡はすぐに崩れることになった。
「魔導ロボット31番機、大破! 離脱します、申し訳ありません!」
隣の戦線で戦っていた魔導ロボットがやられてしまった。遠目に見ると、そこにいたボスクラスの魔物は、以前ゼーデルガイナーも苦労したドラゴンと同型だったので、無理もない話だった。
「私がカバーに行きます!」
レスリーが言った。レスリー機が大いなる闇との戦いから離れ、隣の戦線に向かう。
ゼーデルガイナーが転移させることができる重量には制限があり、魔導ロボットは8機が限界だった。せめてもう何機かが転移できていたら話は違っていたのかもしれないが、どこかの戦線で消耗が進めばそれだけ不利になっていくのだ。
「魔物が抜けたぞ、気をつけろ!」
メルビンの声が飛び、こちらに走ってきた魔物を俺はショットガンで撃ち抜いた。倒れた魔物にカレンが触れ、魔力を吸い取って爆散させる。
「ちっ、油断できねえな……」
「うん。息が、詰まる……」
「う、うわぁっ!!」
「きゃああっ!?」
前方から悲鳴が響いた。男子生徒とメアリーが、地面から這い出てきた触手に捕縛され、持ち上げられてしまった。その地面からはさらに魔物が姿を現した。
「あ、あれはヒュージ・マッドプラント!?」
「地面の下から!?」
マックスとシャネットが叫んだ。ヒュージ・マッドプラントもボスクラスの魔物なので、レスリー機が離脱している今は強敵だ。
「美樹、それ貸して!」
翔がスマホとイヤホンを受け取って走った。触手に捕まったのがメアリーだったこともあり、翔はすぐに動いた。
「ぐっ……クソが……!?」
「うぐ……ううう……!?」
触手に捕まった男子生徒とメアリーが呻いたが、二人とも防御魔法を展開して締め上げてくる触手に抵抗している。スマホを持った翔が駆けつけ、嫌がったヒュージ・マッドプラントが二人を放した。
「メアリー!」
「げほっ、げほっ! だ、大丈夫!」
メアリーは手を上げながら翔に答え、男子生徒と共に立ち上がった。
「皆、どいて!!」
ベラの声が響いた。ロベルトの魔力増幅を受け、ベラとエリザベートの特大魔法がヒュージ・マッドプラントを直撃する。ヒュージ・マッドプラントは爆散したが、地面の中から複数のマッドプラントが出てきた。
「マ、マジかよ!?」
電波機器を持った翔はその場にとどまり、マッドプラントたちを牽制する。助け出されたメアリーと男子生徒もその近くでマッドプラントに応戦し、他の生徒も援護に入った。
しばらく戦っていると、大いなる闇本体から紫色の闇の瘴気が切り離され、近くに飛来して、巨大なボスクラスの魔物に変化した。
「くそ、ボスも補充かよ!」
「まずいわ、レスリー様もいないし、ロベルトの異能にも限界がある!」
俺とカレンが言った。
ボスクラスの魔物は俺たちに背を向け、大いなる闇と戦っているゼーデルガイナーの方へ向かおうとする。
「シャネット、行けるかね!?」
「はい!」
エリザベートにシャネットが答え、二人はロベルトの異能で特大の魔法を放った。新しいボスもたちまち爆散した。しかし、二連続で特大魔法を放ったエリザベートは膝をついてしまったし、ロベルトにも疲労が来ているようだ。
「魔導ロボット29番機、中破! 戦闘続行不能!」
嫌なメッセージが戦場に届いた。8体のボスは常に補充されるようだが、魔導ロボットは6機になってしまった。ゼーデルガイナーと大いなる闇は五分五分の戦いを繰り広げていたが、このままでは回りから崩される!
「ああ、またボスが!」
ボスが補充されてしまい、女子生徒が叫ぶ。ボスは大いなる闇の援護に向かおうとし、生徒たちもその背中に攻撃を加えたが、ボスは意に介さずに移動していってしまう。
「行かせないぞ……! シャネット、ベラ!」
ロベルトがシャネットとベラを呼び寄せ、何とか魔力増幅を行い、ボスを撃退した。しかし、ロベルトは尻もちをついてしまった。もう限界だ。シャネットとベラも二回特大魔法を撃っているので、疲労のためかフラフラになっている。
シャネット、ベラ、エリザベートのエース級がダウン寸前なので、通常の魔物の相手も難しくなり、俺たちは少しずつ後退させられてゼーデルガイナーから離されていった。
「くそ、アマンダ、急いでくれ……。このままじゃ……」
俺が呟くと、美樹が俺の手を取った。俺が美樹を見ると、美樹は不安なのか、震えていた。
すると、またボスが補充されてしまった。もう、ロベルトの異能での撃退はできないし、魔導ロボットも援護に来られない。俺は冷や汗が出てきてしまったし、美樹は顔が青い。他の生徒たちも同様のようだった。
その時、俺たちの後方で見慣れた光がほとばしった。青い稲妻のような光。転移の光だ。
「えっ……!?」
「な、何だ!? 今転移だなんて!」
美樹と俺が叫んで振り向く。そして、そこにあったモノに、俺は目が点になってしまった。
「うおお、な、何だ、ヘリコプター!?」
俺は思わず呟いた。
「山和くん、美樹くん!」
「ラ、ラザードさん……!?」
ヘリコプターからはラザードが出てきた。
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